これまでショートフィルムやテレビ、ネット配信、ミュージックドキュメンタリーなどを手がけてきた伊藤監督にとって、長編映画として観客と向き合う場は初めての経験だという。「どの国、どの会場でも、このテーマがどれほど多くの人の人生と交差しているのかを感じる。きっと観客の中には、ご自身や身近な人の記憶と重ね合わせて観ている方もいるのではないか」と語り、会場への深い感謝を示した。

本作は、伊藤監督自身が経験した性被害と、“その後”の過程を自らカメラに収めたドキュメンタリーである。自身の経験を自らの視点で描くことについて、伊藤監督は「映像にまとめようと思うまでに長い時間がかかった」と率直に明かす。

「もし警察の捜査がそのまま進んでいたら、トラウマや悪夢の夜について外で語ろうとは思わなかったと思う」と語る一方で、刑法改正の節目や、自ら疑問を抱き続けた経験が、声を上げる決断につながったという。しかし、メディアで語ることへの違和感や、言葉が切り取られていく経験から、「どうにか自分自身の映像で伝えられないか」と考えるようになったと振り返った。

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