そんな、日本語吹替版キャストにサンダース監督は「これ以上、感服することもこれ以上嬉しい思いになることもないくらい、本当に素晴らしい演技を見せてくださりました!声をあててくださる過程で、キャラクターに命が吹き込まれ、役者さん個人のスタイルみたいなものがキャラクターたちに吹きこまれていくわけですが、それを見た時、ここにいるみなさん以上に素晴らしいキャストはいないと心から思いました。どんなに感謝の言葉を述べても足りないくらいです。みなさんのアートとお時間をこの作品のために貸してくださって、ありがとうございます」と最大限の称賛と感謝の思いを口にした。
ロボットのロズを演じた綾瀬は「ロズはロボットなので、感情がないんですね。プログラミングされたことしか話さないんですが、ひな鳥と出会って、育てることで愛が芽生えていって、感情が出てきて、母親のような気持ちになっていく。徐々にプログラミングされたことを超えた気持ちになっていくんですが、その使い分け――徐々にロボットが成長し、進化していく姿をどのように演じていくかが一番難しい点であり、いろいろ気をつけてやっていきました」と苦労を振り返る。
キツネのチャッカリを演じた柄本は「名前の通り、ちょっとチャッカリしたところがあり、飄々としたシニカルな目線もあるし、愛を欲しているところもあり、ちゃんと寂しがり屋で、見栄っ張りなところを出せればと思いました」と役に込めた想いを語る。一方で、英語と日本語のワード数や口の動きの違いがある中で「そこを合わせるのはすごく大変で苦労しました」とも。
ロズによって育てられる雁(ガン)のひな・キラリの声を演じた鈴木も「録りながら、雁でありながらロボットっぽいセリフを言わなきゃいけなかったりして、その言葉を短い時間に収めなくてはいけなくて、そこは結構苦労しましたね」とうなずく。
いとうは、子だくさんのオポッサムの母親・ピンクシッポの役で声優に初めて挑戦したが「日本語版の監督に『肝っ玉母さんの感じで』と言われまして、しゃべっていると優しくなってしまうので、できる限り“肝っ玉母さん”を出すように頑張りました」と振り返った。
アニメーション好きの柄本は、これまで数々のディズニーアニメーションにスタッフとして携わり『リロ&スティッチ』、ドリームワークスの『ヒックとドラゴン』の監督、脚本を務めたサンダース監督と対面を果たし、感激の面持ち。舞台袖でもいろいろ質問攻めにしていたようで「先ほど、日本の好きなアニメーションを聞いたら、最近の作品を教えていただいたんですが、今度は影響を受けた作品はあるか聞いてみたいです」と質問!サンダース監督はスタジオジブリの宮崎駿監督の名前を挙げ「自分自身もそうですし、一緒に仕事をする仲間みんな同じ答えだと思います。宮崎駿監督、その中でも特に『となりのトトロ』は常にみんなの一番であると思います」と語る。さらに「本作との関連で言うと、森が出てきますが、宮崎監督が描く森には神秘性、没入感、奥行きがあり、私たちもそこにインスピレーションを受けて森を描きましたが、それをかなえるためにドリームワークス・アニメーションのやり方を全て変えなくてはいけませんでした。キャラクターを含めて、“手描き感”を感じていただける作品になっています。愛してやまない宮崎作品の背景、キャラクターの手描き感をこの作品でも感じてもらえたら嬉しいです」と語った。
ちなみに、監督は『ヒックとドラゴン』の公開時に来日した際に、宮崎監督と対面したそうで「彼のアトリエで過ごすことできて、素晴らしい経験をさせてもらいました」とニッコリ。サンダース監督の答えに柄本は思わず「すげぇ!」と漏らし、これから映画を観る観客に「こんなにデカいスクリーンで観られるのはすごく贅沢な経験だと思います。森の表現、毛の質感を楽しんでいただければ……いま『羨ましいな…』と思っています(笑)」と語っていた。