ノルウェーの森で暮らす家族の喪失と再生を優しく描いた本作は、2024年の第40回サンダンス国際映画祭にて、ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門で「哀切極まりない感情と映像美に満ちている」(Variety)、「小さな家族の物語から、想像をはるかに超えた愛情が伝わってくる」(The Hollywood Reporter)と絶賛され、審査員大賞(グランプリ)に輝いた。同時にNHKが世界の優秀な教育コンテンツの発展のために創設した「日本賞」においても特別賞を受賞し、以降もシアトル国際映画祭、ノルウェーのアカデミー賞と呼ばれるアマンダ賞などでドキュメンタリー部門の最高賞を受賞。一部の映画祭では監督とともに登場人物のペイン一家も壇上に立ち、作品に共感した観客たちと交流する姿が話題になるなど、注目を浴び続けている。
最愛の人との別れと、その後も続く人生。冒頭こそ『はじまりへの旅』などを彷彿とさせる型破りでワイルドなライフスタイルに目が奪われる本作だが、家族の心の痛みと癒しをスクリーンで追体験するうちに観客の胸に突き刺さるのは、『アフターサン』などと共通する、大切な人の愛情と思い出を抱えながら生きることのせつなさと尊さだ。喪失の先にあるものとは何か、今を生きるとはどういうことか、すべての人に問いかける傑作がついに日本公開される。