一方、芳根は自身の太鼓演奏シーンに触れて、「小泉監督が太鼓練習の場に何度も来てくださって、練習経過を見てくださった。来てくださるたびに良くなったと思ってもらえるように頑張ろうと思って、小泉監督が鼓舞してくださることがモチベーションに繋がりました」と感謝。今では太鼓のバチさばきが体に染みついてしまったようで「細長いものを持つと、手首の角度がバチを持つときのようになってしまい、練習期間が蘇る」とマイクをバチに見立てて凛々しいポーズを取っていた。そんな太鼓演奏シーンを間近で見た松坂は「もう圧巻でした」と感激し「現場で会うたびに手首がテーピングだらけでボクサーのようで、太鼓演奏がどれだけ大変だったのか肌で感じることが出来ました。演奏シーンの本番は圧倒されて、終わった瞬間に芳根さんは泣き崩れるような形になって…。あれは忘れられません」と芳根の努力を労っていた。
黒澤明監督の助監督を長らく務め、黒澤監督を師と仰ぐ小泉監督。黒澤監督の私物である薬などを作るための道具・薬研を小道具として現場に持ち込んだという。実際に劇中で使用した松坂は「博物館で展示するような貴重なものだったりするので、いいんですか!?と。手も震えました」と恐縮しきり。すると小泉監督から「あれは黒澤さんの映画『赤ひげ』で三船敏郎さんが使っていたものですからね」とまさかの追加情報があり、初耳の松坂は「…今聞いてよかったあ」と震えていた。
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そして、“諦めないで成し遂げようとした人物”笠原良策にちなんで、今年成し遂げたい、成し遂げようとしている目標をそれぞれ発表。松坂は「年始にちょっとだけ体調を崩してしまいましたが、それ以降は体調を崩さないという強い意志で完走しようと心がけています!」と健康第一を挙げた。芳根は「今を全力という事を心がけているので、現在撮影中のドラマを無事故無怪我で完走するのが目標」といい、役所は「職業柄、今年もお客さんに楽しんでもらえる作品になるように頑張ります!」と意気込んだ。途中、本作の記念を公開して“鏡開き”が行われ、その様子に客席からは大きな拍手が送られた。
最後に小泉監督は、本作の撮影を担当し、黒澤組の名キャメラマンだった上田正治さんが87歳で亡くなられた事を報告。「上田さんにとって本作が最後の作品になります。彼の映像の素晴らしさはスクリーンでなければ観れないと思いますので、上田さんのキャメラを見るつもりで何度も劇場に足をお運びください」。主演の松坂も「小泉監督が仰る通り、上田さんにしか撮れない作品です。上田さんとはこの作品で初めてお会いしましたが、撮影中はどんな悪路であろうとも自らカメラを担いで歩いて行ったりして、物凄いエネルギーとパワーで撮影現場にいました。その姿を見られて僕は幸せだったと感じています。そういった素晴らしいスタッフ・キャストが作り上げた作品なので、自分が作品を観て受け取った感想で構わないので、色々な人に『雪の花 ―ともに在りて―』を繋いでくださると幸いです」と呼び掛けていた。
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