さらに、原作にはない良策(松坂桃李)の殺陣シーンについて聞かれた監督は、「僕自身が水戸出身で、文武両道ではなく“文武不岐“という言い方が普及していて、武士が持っている精神性を医者が持っていてもいいだろうという思いがあったんです。」と、殺陣シーンには監督の子供の頃からの思いも含まれていたという。殺陣シーンを見た人からは「(黒澤監督の)”赤ひげ“みたい」という声もあがったというが、それに対し監督は、「嬉しいですね、真似というものも良いもので、学ぶということは“真似”することだと思います。」と、嬉しさをにじませた。トーク後半、現在吉村昭記念文化館で展示されてある展示品についても触れられ、本作でも使用された薬を潰す道具(薬研)も今回展示されているという。この薬研は黒澤さんが実際に自宅で使っていたもので、「僕にとっては黒澤さんが傍にいてくれているようでホッとする。」と、まるで黒澤監督に見守られているような気持ちになるという監督。『博士の愛した数式』では黒澤監督が使用していた椅子を使用していたりと、小泉作品には黒澤監督が使用した私物が作品ごとに散りばめられているそう。
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『雪の花 ―ともに在りて―』公開記念舞台挨拶&トークイベント オフィシャルレポート
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