この度、日本の臓器医療の現状を医師たちが議論し合うディスカッションシーンの本編映像を解禁!
劇中、本物の小児科医や脳外科医などの医師、看護師、研修医らが、俳優と入り混じって、臓器医療の日本の現状や今の病院内の体制をふまえた見解を語り合う場面が登場する。「本人役として出演されている関係者の方々の発言はそれぞれのご自身の意見に基づいています。誰が何を言うかのセリフは、台本には大まかに書いていただけで、本番ではそれにとらわれずに話してもらいました」と、河瀨監督はドキュメンタリーのように本人自身の言葉を記録した撮影を振り返る。
このディスカッションには、河瀨監督が本作を制作する過程の取材で知り合った臓器移植におけるあらゆる分野の関係者が出席していて、その中の誰が口を開くかもわからない状況だった。全員の主張や立場をすべて把握しているのはそれぞれに事前取材をしていた河瀨監督のみ。本番では3台のカメラを同時に回しながら、どのカメラを誰に向けるか、インカムを通して各カメラマンにリアルタイムで指示を出しながら、約3時間もの間続けられたディスカッションの様子を撮影した。
河瀨監督がどうしても本編に残したかった発言の一つに、「動いている心臓に氷を入れて摘出したときは、何とも言えないものがありました」から始まる現役医師の言葉があった。当人への取材時に直接耳にしたそれはセリフとして脚本にも落とし込まれており、特に「死が終わりじゃないんだって思いました」という一言は、この映画のためになくてはならないものだったという。
また、同シーンの参加者の中にはレシピエント(臓器移植を受ける患者)の父親にあたる人物もいる。レシピエントの家族とドナー(臓器を提供する)の家族が一つの場に同席するというのは、業界では画期的なことだった。そもそも日本でも海外でもドナーとレシピエントが顔を合わせることはまずない。それは双方の間で起こり得るトラブルのリスクを回避するという事情に基づいているが、当事者同士が同意しているのであれば両者が対面するケースがあってもいいのではないかという意見もある。河瀨監督自身、2025年に開催された第26回臓器移植推進国民大会ではレシピエント本人とドナー家族との3人で行うトークセッションに登壇したが、それも過去にはなかったことだという。少しずつではあっても、臓器医療をめぐる世の中の動きは変化しつつある。
臓器医療ディスカッションシーン本編映像はこちら https://www.youtube.com/watch?v=JIPQmt7xpeM