トークセッションはまず「役作り」について。
作間は、連載当初から読んでいたことから、山田が最初から馴染んでいたという。しかし、クールな外見の内側に隠された、複雑な感情を持つ山田を表現することは容易ではなかったと振り返る。監督や共演者と何度も話し合い、試行錯誤を繰り返しながら役作りを進めていったというエピソードからは、作品に対する真摯な姿勢がうかがえる。特に山田特有の「面倒くさそう」な雰囲気、そして時折見せる不器用な優しさを表現するために、声のトーンや表情、仕草に至るまで細部にこだわったそうだ。

山下は、大人気原作を実写化する上でのプレッシャー、そして二次元のキャラクターを生身の人間として表現する難しさについて語った。原作の茜のファッションは現代のトレンドとは少し異なり、衣装合わせの段階から試行錯誤が始まったという。現代風にアレンジを加えながらも原作の雰囲気を尊重した衣装を作り上げていったそうだ。髪色も原作に忠実に再現するため、何度もブリーチとカラーリングを繰り返した結果、髪の毛がかなり傷んでしまったという苦労話も明かした。しかし、その努力はスクリーンに映し出された茜の姿を見れば一目瞭然。原作のイメージを壊すことなく、山下自身の持つ透明感と愛らしさが加わり、魅力的なヒロイン像が完成していた。

NOAは、原作ファンとしての喜びと、人気キャラクターを演じることへの不安を感じていたと明かした。瑛太の持つ温厚な人柄や、時折見せるお茶目な一面を表現するために、監督に確認しながら、キャラクターの心情を深く理解することに努めたという。

月島は瑠奈の外見的な特徴だけでなく、内面にある二面性、つまり初対面の人には警戒心を抱きながらも、心を開いた相手には素直で人懐っこいというギャップを表現するために、演技プランを練り上げたそうだ。
