ー 各キャストのキャスティング理由をお教えください。
主人公の孝明役の卯ノ原圭吾さんは4回位ご一緒していて人柄がわかっています。頭がいいし耳もいいし、表現力もあるしお芝居も上手いんですけれど、どこか人的に抜けているところがあって親近感を感じていて、この人だったら、自分の想いを託したら、自分が思ったように表現してくれるだろうなと思って頼みました。
主人公の妻・佳奈役の斎藤千晃さんは、安定したお芝居ができる方で、安心材料も込みで、お願いしました。彼女に卯ノ原さんとかが大きくとぼけた芝居をしても、彼女の確実な芝居で現実に引き戻してくれるというイメージがありました。
孝明の不倫相手・あゆみ役の実倉萌笑さんとは今回が初めてだったんですけれど、ぱっと見かわいい女の子なので、最初用意した全然別の脚本の妹役のイメージで声をかけました。後に、その脚本ではやらなくなって、あゆみ役になりました。彼女は正直ぱっと見あゆみ役と違うので、できるのかなと思っていたら、実倉さんから、「あゆみ役、頑張ります」と猛プッシュされて、ここまで言うのなら、この子と心中してみようと思いました。インまで2 ヶ月位あったのですが、リハを5回位やって、スプロケでも会う度に、「私のこういうところがあゆみだと思いました」「自分にこういうあゆみの部分を見つけました」と常に報告してくれて、役に向かって真摯に向き合っていることがわかりました。リハーサルで芝居をしてもらったら、その成果が出ていて、僕が思っていた役を超えたあゆみを作ってくれたので、心中せずに、上手い形になったと思いました。
孝明とあゆみの起業仲間役の小幡貴史さんは、元自衛官なんですけれど、その肩書き通り、しっかりした真面目な人なので、リーダーにピッタリだと思いました。松本響さんは、本作で美術もやってもらっているんですけれど、いろんなことに興味を持っている方で、このベンチャーチームの2番手で、「アーティスティックで自由度も高いけれど、ちゃんと仕事もこなす」というイメージにぴったりだったので、お願いしました。島林瑞樹さんは、映画のままのイメージで、ずっと不安に思っているし、常に自分は大丈夫かと模索している人で、弱い部分を平気で見せるチャーミングさがあって、この役に合うと思いました。
佳奈のバイト仲間役の八木亜希紗さんは、斎藤千晃さんに挙げてもらったんです。ご本人がどうかはわからないですけれど、サバサバしていて、不安を抱えながら過ごす佳奈の対照としていいと思ってお願いしました。佳奈がバイトするネットカフェの店長役の鐘ヶ江佳太さんはダンディでかっこいいんですけれど、どこかとぼけてるんです。漫画をいっぱい持たせるだけでも面白いので、女子二人にいじらせたら、何もしなくても面白いシーンになると思ってお願いしました。
保険の外交員役の佐藤達也さんは、僕のイメージは役と同じく実直で真面目な方。設定の説明をしなくてはい
けないファーストシーンだったので、ピッタリでした。佳奈の元夫に瓜二つの男「倉田」役の宮本聖矢さんは、好青年なんですけれど、結構熱い人で、嫌味もない。無色無臭みたいな感じがこの役にピッタリだと思って選びました。倉田が働く居酒屋の店長役の米元信太郎さんは、クセがあって面白い。キャリアも長くて、アクティングコーチもされていて、引き出しが多い方なんです。どんなことを相手がしても、場面が面白く魅力的になるようにまとめてくれるだろうと思ってお願いしています。