ー 佳奈はフリーターで、1000万円を夫に渡す余裕はないように見えますが、どのような設定なのでしょうか?
ギリギリ生活はやれているし、仕事というか起業しないと生活が立ち行かないという設定です。
ー 孝明と一緒に起業する3人ですが、島林さん演じる山本が資本金の準備に苦労しているという設定も絶妙だと思いましたが、その設定にした理由をお教えください。
主要3人の物語だけじゃなくて、各キャラクターに人生があると思っていて、その片鱗を見せたいと思ってそういう設定にしました。またお金に対する不安が伝染する様を見せたいなとも思いました。
ー 本作の見どころはどこだと思いますか?
「失踪宣告」という聞き慣れない言葉・制度があって、そこが僕は面白いなと思っています。本当に死んだか確認していないのに、死んだ扱いをされる。強引に死亡と決めつけてしまうという制度の仕方なさと違和感が面白いと思ったんです。その制度を悪用する人もいれば、すがる人もいる。あやふやなものにすがったり悪用する人がいる価値観がある世界を、サスペンスというテンポのいいエンターテインメントで感じてくれたら嬉しいです。
ー 映画祭での反応はいかがでしたか?
北海道国際映画祭では観客賞をいただきました。シネフィルや映画マニアというよりは、普通の一般の方が来てくれる映画祭なのですが、そういう方が「面白かった」と声をかけてくださったので、映画にそんなに興味がない人でも楽しめる映画になっているなと思いました。
ー テアトル新宿で公開されると聞いた時は、どう思いましたか?
50席位の映画館で十分だと思っていたので、驚きました。テアトルは歴史もありますし、僕も好きな映画館なので、すごく期待されていると、今からビクビクしています。
ー 読者にメッセージをお願いします。
この映画は、隅々までこだわっています。例えばある人とある人が鏡に映った形で話していたりするんです。そういうことがどういうことを意味するかや、劇中の画面上のアイコンなど、大きい画面で観た方が、隅々まで見れるし、伝わると思います。ぜひ闇の中で大きいスクリーンで見ていただけると幸いです。