そんなキャスト陣を見ていて「何本か映画を撮らせてもらったけど、特別な作品。このメンバーと一緒につくれたんだなと思って。そういう作品が初日を迎えるのは感慨深いですね」としみじみ語った宇賀那監督。キャスト陣は非常に仲が良く、和気あいあいとした雰囲気だが、「最初はカオスでしたね。誰とも仲良くなれないと思っていた。最初は宇賀ちゃんとRockoと俺だけで。何かしゃべりたいけど、何をしゃべったらいいか分からない感じだった」と振り返った喜矢武。さらに「そこに夏子が入ってきたんですけど、僕的には(怖い)オーラをかもし出しているなと思ったんですよ」と付け加えると、「わたしも怖かったです」と返した夏子。さらに喜矢武が「ふたりとも目つきが悪いんで第一印象が良くないでしょ。エアバンド風情がこんなところに来やがってと思われたのかなと。怜央は怜央で遅れてきたのに『うぃッス』みたいな感じで入ってきて、またやべぇヤツが来たなと。自分が一番まともだと思ってました」と語るとドッと沸いた会場内。そしてあらためてRockoに「メンバーの印象は?」と聞いてみると、「とても怖い」とたたみかけて、会場は笑いに包まれた。

そんな夏子だがやはり本作に向き合うにあたってやはり緊張があったようだ。「夏子が俺と怜央に『助けてください』というんですけど、俺もミュージシャンじゃないし」と喜矢武がぶちまけると会場は大爆笑。そんな喜矢武の言葉に今村も、「僕は毎回ミュージシャンとして接しているんですが、なのにずっと『僕はミュージシャンじゃない』と言い続けるんです。それは謙遜なのかどうなのか分からなくて。Googleで調べたりもしたんですけど、これはそろそろミュージシャン扱いをするのはやめようかと思った」と返して会場を沸かせたが、そんな中、喜矢武が「ライブシーンでの夏子のオーラはすごいから。ハートがミュージシャンのようだった」としみじみ語った。

劇中の音楽はKYONOが担当。歌詞は宇賀那監督自身が担当している。「そもそも自分で曲をつくったことがないので、どう頼んだらいいのか分からなくて。蒲田の立ち飲み屋でKYONOさんと何回か飲んで、それでいけると思って曲をつくり出したんですが、歌詞を書いたことがないんで恥ずかしかったんです。でも僕が歌詞を書かないと夏子が練習できないので、それがプレッシャーでした。ちょうど名古屋の(映画館)シネマスコーレに行くことがあったので、新幹線の中でつくりました。悩んだというよりは、恥ずかしかったという方が大きかった」と語ると、今村も「めちゃくちゃピュアで良かった」と称賛。さらに宇賀那監督が「映画を観て良かったといってもらえるのもうれしかったけど、歌詞が良かったよと言ってもらえるのもうれしかった」と付け加えた。

そんな舞台挨拶も終盤。最後のメッセージを求められた夏子が「感想を広げてもらえたらうれしいです」と呼びかけると、宇賀那監督も「血ヘドを吐きながら、この作品が残ると信じて、素晴らしいメンバーと作った映画です。大好きなメンバーたちなんで、このままで終わらせたくなくて。仕上げも編集も、どんなスピーカーから出そうかというところも緻密に、映画館で観てもらうためにいろいろと設計してつくりました。もっとたくさんの劇場で上映してもらいたいので、夏子さんが言った通り、面白いでもつまらないでもいいので、感想をまわりの人に伝えてもらえれば」と呼びかけた。

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