ー 岡本監督とは本作の撮影前にどのような話をしましたか?
未完成の台本を送ってくれて、「修正点はありますか」と聞かれた時に、「珠が二人の神様の間を行き来している感じがちょっと薄いですよね、二つの世界に融合性があった方が、二つがあって珠がいるという感じがもう少しあった方がいいんじゃないですかね」という話をした記憶があります。
ー 津田さんにとって音楽はどのような存在ですか?
僕はリラックスしたい時にピアノソロだとかを聴くことが多いです。癒されるツールというところがあります。
ー 伊集院香織さんやぽてさらちゃん。など、本業が音楽の方々とのお芝居はいかがでしたか?
めちゃくちゃ良かったです。特にぽてさらちゃん。は岡本監督の短編映画によく出ているんですけれど、どれも違う面を見せていて、すごい女優さんだなと思っています。本作でもすごくいいです。生っぽさが違うというのが大きくあります。芝居に命を懸けていないというのが俳優にとって実は大事だと見てて思いました。かといって抜いている感じはなくて。みんな一生懸命なんですよね。変な小芝居はしないし、見ていると、俳優の鏡みたいな感じがします。余計なことはしないで、常に自分の全てを出したいと思ってやっているのかな。素晴らしかったです。
ー 井澤の、「(珠は)ずっと本気だった」という台詞が2回も出てきて、井澤は「今はたまたま皆の目に見えるやり方をしているだけで」と説明していますが、津田さんは、日の目を見ない裏の努力などについて思うことはありますか?
「珠はずっと本気だった」という時の珠って、人に隠しているということもなければ、見せているということもないと思うんです。たまたま見えたというだけで。努力しているところは隠す必要も見せる必要もないと思って普通にやっていればいいことだと持って、あまり意識したことはありません。
ー 井澤の、「しょうがないなんて、なんでそんなふうに思ったんだっけ?」というモノローグのシーンは、他のシーンとトーンが違って、重みがありましたが、どのような思いで演じましたか?
客商売なので、お客さんが入ってなんぼというところがあって。その中で自分の好きなことをやるというのは本当に大変だと思うんです。こうだと思った映画をかけ続けるという映画館の支配人の重圧って、僕らの世界とは比べ物にならないものがあると思います。誰からも注目を浴びないことがあっても、心折れずに自分のラインアップを守っていくんじゃないですかね。珠ちゃんに「もっと人気のある映画をかければいいじゃん」と言われて、「そんなことしたらみんな来なくなっちゃうでしょ」と言うやりとりがありますが、お客さんと自分の感性を信じて、そういった映画をかけ続けることの大変さが身に沁みれば染みるほど、支配人のセリフや決断の勇気が伝わってきます。