そもそも『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』に続く『イノセンス』はどのような経緯で作られることになったのか?

押井監督は「きっかけ自分の中にあったわけじゃなく、プロダクションI.G.の石川(光久)社長に呼び出されたんです。当時、僕はアニメをやってなくて、アニメはつらいからやめちゃおうかって時期だったんですけど『いま戻ってこないと、誰もあなたとやってくれる人がいなくなるよ。いいかげん、あきらめてスタジオに戻れ』と言われて『そうだな』と思ったんです」と述懐。その時、石川社長から3本の作品の候補が提示されたが「やるなら『攻殻機動隊』の続編をやってみたいって素直に思いました。終わってないんですよ、どこかで。あの後の素子をもうちょっと見たいというのと、部屋に残ったバトーの思いを引きずってみたいなと。わりとすんなり話ができて、脚本も2週間くらいで書いたので、自分の中で抵抗なくすらすら出てきた作品でした」と明かした。

大塚さんは、続編の制作を聞いた当時の心境について「嬉しくて心臓が止まるかと思いました。『なに?うそ?やれるの?』という感じでした」と喜びを明かした。制作期間の苦労について、押井監督は「(アニメーションが上がってくるのを)待つつらさがあった」と振り返る。「明夫さん、敦子さんと同じ顔ぶれだったので、イメージはできるけど、最初の『攻殻機動隊』から何年か経っていて、同じじゃない部分があるんです。よく映画などである『そして3年後…』みたいなもので、人間が変わっているはずで、どこがどう変わっているのか確かめたいし、確かめるまで安心できないんです。第一声が入った時、つながった感じがしました。サイボーグであることに変わりはないはずで、サイボーグが歳を取るってどういうことなのか?というのを考えました。素子が義体を持たなくなって、オリジナルの身体がなくなって、いわば魂だけになってしまったんですけど、どういう感情をバトーに持つのか? そこでの再会のセリフが『変わってないわね』なんですけど、『変わってないわね』というセリフは、2人が変わったから言えるんです。その機微を監督は考えるんです。どうやって表現してもらうか? そういうことが、この作品をやったことの意味の全てと言っていいと思います」と『イノセンス』に込めた思いを熱く語った。大塚さんは、押井さんのそんな言葉に「泣けてくる…!」としみじみ。素子とバトーの再会のやりとりに触れ「あの短いやり取りの中に、どれだけのものが入っていたか――?大画面で全身を駆使して感じ取ってもらえたら嬉しいです」と感慨深げに語った。

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