主人公のケナは、韓国社会の男女差別、貧富格差などにうんざりして、韓国を離れることにする。たとえ大事なものを手放すことになろうと、誰かに逃げだと言われようと、そこが自分だけの地獄【ルビ:ヘル】だとしてもかまわない。どこにたどり着くかわからなくても細かく揺れて動き続けるしかない。ケナは、誰かに選ばれる人生を生きるのではなく、自ら人生を選ぶことにしたのだ。
――すんみ(翻訳者)

質問です。いま、幸せですか? これは、自信をもって答えられない私たちのための映画。見終わる頃、きっとあなたは行動したくなる。自分で自分の人生を選びとるために。自分を好きになって、世界との関わり方を変えるために。
――ひらりさ(文筆家)

人生が苦しくなったら、まずは今ここを捨てて、自分の生きる国の外に出ればいい。「日本が嫌いで」と、言葉にしてみればいい。そうすれば後悔がひとつ減るから。言葉以上に、繊細な映像で静かに語るこの映画に、私も背中を押された。韓国に行こうかな。
――星野智幸(小説家)

韓国留学中に出会った日本人からよく耳にした言葉があります。
「日本が合わなくて。息ができない感じがして」
ケナが体験したことは、韓国に限った話ではないのでしょう。
私の友人たちの話だと思いながら観ました。
――前田エマ(モデル)

タイトルにドキッとしつつも『嫌いで』の後に続く気持ちを探しながら見守ったケナの冒険。格差社会が嫌、貧乏が嫌、嫌なことばかりでいつもムスっとしている彼女なのに、周りのみんながほっといてくれないのが可愛い。最初からしばらく伝わってくる冬のソウルのツンとした冷たい空気が段々適温になっていき、最後にはケナの後ろ姿が「何に悩んでたんだっけ・・・」と心地よい空っぽな気持ちにさせてくれました。
――マキヒロチ(漫画家)

ケナの毎日の息苦しさをどうしてこんなにわかると感じるのだろう、韓国で暮らしたこともないのに。恋人に「僕が支えるから」と言われて匙を放るケナにはっとした。そうだよそんなこと望んでない。もう我慢しない!「わたしがわたしでいられる場所」をめざして踏みだすケナがまぶしい。
きっとこの映画は誰かの背中を押してあげるだろう。新しい場所へ飛びだそうよと、やさしく、さりげなく。
――やまじえびね(漫画家)

自然体で、自分にとっての幸せを感じて生きるケナの姿が、この物語の明るさであり、煌めきであった。生っぽい質感で捉えられるそんなケナの姿には、生きる意味が映し出されていた。
自分の生まれた国を嫌いになったことのある私にも、ケナは問いかける。私にとっての幸せとは何か。
――和田彩花(アイドル)

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