6役という異例の挑戦に挑んだ香川は、衣装合わせについて「普通は、だいたい主人公でも衣装合わせっていうのは1時間とか2時間ぐらいあれば十分なんですけど。前作の『宮松と山下』の映画を撮った時は、6時間だったかな?今回は衣装合わせが1日で終わらず2日間。その度に髪型、メイクも変え、まるで別人格を作り上げていく作業は、役者として非常にエキサイティングな体験でした」と振り返る。各キャラクターの職業は、社会に溶け込むような一般的なものだが、話し方や細かい仕草は監督と綿密に相談しながら作り上げていったという。

演出面において、関監督は「各話の主人公はそれぞれ素晴らしい俳優陣で、脚本を読んだ段階で既にそれぞれの役のイメージを作り上げてきてくれました。なので、僕らはそれを壊さないように、むしろ個性を際立たせるように演出することを心がけました。香川さん演じる男の存在が、そのバラバラな世界観に奇妙な統一感と不穏な空気を生み出していると思います」と説明。
平瀬監督も「この作品で一番大切にしたのは、『新しい怖いものをつくる』ことです。毎カットごとに、どうすればより不気味で、よりゾッとするような映像になるか、スタッフ、キャスト全員で議論しながら作り上げていきました。香川さんはもちろん、他の俳優陣も積極的にアイデアを出してくれて、非常にクリエイティブな現場でした」と振り返った。香川もまた、「僕は逆に、できるだけ平凡な演技を心がけました。演出による恐怖表現と、僕の平凡な演技の対比が、より不気味さを際立たせていると思います」と、演技プランを明かした。
