この度、ポン・ジュノ監督から映画へのコメントが到着!
まるで街そのものが映画の中の登場⼈物であるかのように、リアルな歌舞伎町の空気が感じられる本作は、『パラサイト 半地下の家族』で第72回カンヌ国際映画祭の最⾼賞となるパルムドール、第92回アカデミー賞(R)作品賞・監督賞などを受賞した世界的映画監督、ポン・ジュノも魅了した。
<ポン・ジュノ監督 コメント>
アンソニー・ホプキンス主演の『ファーザー』という映画をご存じでしょうか。
あの映画は、認知症を追体験させる、1⼈称視点でアルツハイマーを体験させるという、そんな恐ろしさがありました。
今回の允さんの新作も、1⼈称視点を通して痛みを体験させる側⾯があります。恐ろしい苦痛の旅です。
しかし、その旅は⾮常に美しく、さらに鮮やかな映像で彩られているため、そこから⽣まれる強烈なコントラストが、いっそう恐ろしく胸を締めつけるように感じられる映画です。
強烈と⾔わざるを得ない、議論を巻き起こさずにはいられない映画だと感じます。
導⼊部のその恐ろしい⽗親による虐待の描写。
映画的な表現の限界を越えるかのような、あまりにも幼い姉妹の⼩さな背中に刻まれた傷を描くシーンからわかります。この映画がどれほど⾁体的であるか、どれほど⾝体的な感覚に依存しているか。それをはっきり⾒せながら映画が始まるのです。
実際に存在するとても強⼒な⾁体的な痛みを描き、それゆえに⼼にも深い痛みを避けられない映画。そんな痛みと苦しみについての1⼈称視点の映画だと思います。だからこそ、「その広場」を題材にした、そこにいる⻘少年を扱ったドキュメンタリーのようなものとは全く異なる、正反対の地点にあるスタイルとアプローチを持つ映画です。
そのような正反対のスタイル。
主観的で映画的で、さらには美しいとさえ⾔える映像を通して、むしろそこにいる⼦供たちの苦しみや危険な状況がより鮮明に浮かび上がる作品だと思います。
余韻が⻑く残らざるを得ない作品です。
僕がもし東京を歩いていて偶然その広場を通り過ぎたとしたら、この映画の中の⼦供たちのことを思い出すでしょう。
その場所が違って⾒えるはずです。表⾯的な姿とは異なる何かが⾒えてくるでしょう。
そこに座っている⼦供たちも、そうです。
それが映画が持つ⼒だと思っています。