この度、4月4日、TOHOシネマズ日比谷で行われた公開初日舞台挨拶には、岩井俊二監督、秋葉茂役の豊川悦司、少女時代の藤井樹役を演じた酒井美紀が登壇。満席の会場は、この名作を再びスクリーンで観られる喜びと、昨年末に急逝した主演の中山美穂さんへの想いが交錯する特別な空気に包まれていた。

イベントは、岩井監督の挨拶から始まった。「30年前にこの映画を公開しまして、当時は…」と語り始めた監督の声には、時を経た感慨深さと共に、どこか現実のことではないような、不思議な感覚が漂っていた。そして、昨年末の出来事について触れ、「中山美穂さんが天国に行ってしまいまして…今でもまだ受け止めきれない」と、言葉を詰まらせながら、故人への深い想いを吐露した。4Kリマスター版の制作は、中山さんの訃報後に本格化したという。「美穂ちゃんになんとか喜んでもらいたくて、今日間に合いました」と、監督は天国のヒロインにこの作品を捧げるように、静かに語った。

続いてマイクを握った豊川も、中山さんへの想いを語った。「僕の中ではこの『Love Letter』っていう映画は、美穂ちゃんの映画なので、今日はたくさんの人に美穂ちゃんを観てほしい」。豊川は、この舞台に中山さんがいないことを寂しく思う一方で、多くの人に彼女の演技を届けられる喜びを感じているようだった。

酒井は、当時16歳だった自身が、憧れの中山さんと共演できた喜びを改めて噛み締めていた。「私にとって記念すべきデビュー作に憧れの中山美穂さんと、同じ役を演じられたことを、すごく光栄に思いました」。30年の時を経て、再びこの作品が注目を集めることへの喜びと、改めて故人を偲ぶ想いを語った。

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