この度、先⾏公開記念舞台挨拶が4⽉18⽇に都内映画館で実施され、喫茶店のマスター役を演じた安齋肇と、本作のメガホンをとった⼤九明⼦監督が登壇した。

「利久くんや優実さんじゃなくて僕ですみません(笑)」と照れながら客席から登場した安齋。登壇前、観客と⼀緒に本編を観ていた安齋は「60 年代くらいからずっと⾊んな映画を観ていて、僕なんかでも響くようなあの時代を感じさせるものをこの映画で⼤九さんが⾒せてくれるんです。⼤胆なカット割りとか⾊の使い⽅で⾒せてくれる。本当に映画はいいなって思いました。⼤九さんの映画にはその熱量があるんです。」と改めて映画を観た感想を語った。
⼩⻄と⼭根がデモ⾏進に参加するシーンや、喫茶店でラジオから流れる紛争地域のニュースを聴いてマスターが「いけないねぇ」と⼀⾔こぼすシーンについて⼤九監督は「今この時期に映画を作るということは、下⼿でもいいから、そういうものに対して私はNOと思っているし映画の作り⼿としてそういったことをしっかりと映画の中で焼き付けていきたいなという思いで⼊れました。安齋さんに、喫茶店のマスターに、はっきりとそれはいけないよねって⾔ってもらうことで、いけないんだっていうことを⾔いたかったんです。」と映画に込めた思いを明かす。⾃⾝のそのシーンを観た安齋も「僕、すごい上⼿い役者さんみたいだったなぁ」と感想を溢す安齋に「上⼿い役者でしたよ︕他のシーンでもセリフを⾔った後に『へへっ』と笑う感じや、セリフを⾔った後の絶妙な動作が本当に素晴らしかったです。⼈間⼒の凄さを感じました。」と⼤九監督も安齋が醸し出す独特な雰囲気を絶賛した。
また、そんな安齋に本作への出演をオファーした経緯について「原作⼩説ではもう少し若いマスターをイメージして描かれてる感じだったんですけど、今この時代に撮るからには、撮るからこそ、いろんな世代の眼差しを映画に⼊れたいなと思っていたんです。それで喫茶店のマスターは、多分この映画の中では⼀番年上の⽴場から全体を俯瞰で⾒ているような⼈物だと思ったので、そんな⼈にお願いしたいなと思っていて安齋さんにお願いしました。」と語る⼤九監督。さらに安齋もオファーを受けた際の思いについて「やばい︕どうやって断ったらいいだろうと思いました。⾃分のことなんてわかっているから⾃分で映画を撮る時も⾃分は出ないし。でも現場が⼤好き。現場が好きだし、そのままの安齋さんで来てくださいって⼤九さんにも⾔っていただいて、本当にセリフも覚えないで⾏ったんですよ。それでやらせてもらったら、このマスターってもう俺じゃんって思いましたね。」と当時を振り返る。そんな安齋は、実は現場でセリフはカンペを準備してもらっていたことを明かし「私がずっと⼀緒にやっているカメラマンが、カンペを読んでいる安齋さんがあまりにも⾯⽩くて思わず笑っちゃってNGになっちゃって。カメラマンが笑ってNG なんて初めてでした。」と⼤九監督からも撮影中のエピソードが明かされ、「でも本当にカンペを読んでる⼈のお芝居には⾒えないです。カンペはあるけど、本当に⾃由に演じてくれるんです。」と安齋の出演シーンの⾒どころをアピール。
最後に観客の皆さんへ「本当にいい映画なので、みなさん⾃分が宣伝部だと思って周りの⼈にとにかく⾒てほしいと伝えてください。本当にいい映画だった。」と熱を込めて呼び掛ける。そして⼤九監督は「撮影が終わってから初めて申し上げたんですけど、私はずっと安齋さんを追いかけていました。タモリ倶楽部は全部録画して観ていたし『勝⼿にふるえてろ』でも主⼈公のヨシカちゃんが空⽿アワーを聴いて爆笑してるシーンも作ったし、本業でいらっしゃるイラストも⼤ファンですから、今回ご⼀緒させていただくということで⼤変ドキドキしたんですが、私の想像を超えるマスター像にさらに⾊を添えてくださいました。いい映画と⾔ってもらえて感無量です。私の尊敬する安齋さんがこう⾔ってるので、みなさんもぜひこの映画を可愛がっていただけると嬉しいです。」と安齋への熱い気持ちも込めて、観客へメッセージを送った。