この度、ルカ・グァダニーノ監督が積年の思いで映画化した『クィア/QUEER』の制作にあたり、初めて挑戦したこと、『チャレンジャーズ』に引き続き、ジョナサン・アンダーソンへ衣装担当を任せた理由などについて語ったインタビューと新たな場面写真が到着!

ルカ・グァダニーノが映画監督として長年目指してきたことの一つが、チネチッタ撮影所で映画を監督することだった。同撮影所は、99エーカー(約40万㎡/東京ドーム約8.6個分)もの広さのローマにある伝説の撮影所で、1937年にオープンしてから、フェリーニ、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、レオーネ、ベルトルッチ、コッポラ、スコセッシなどによる、3000本以上の映画が撮影されてきた。

「僕は、『クィア/QUEER』のイメージやセットは、バロウズの目と心を通して映し出されるものでなければならないと考えていた。彼の小説の映画化について考え始めて30年が経っても、まだバロウズの原作に表現されている苦悩や欲望、イメージを反映する人工的な場所として、メキシコシティやパナマシティやエクアドルを再現することにこだわっていた」とグァダニーノ監督は振り返る。

映画の冒頭のメキシコシティの章に関してグァダニーノ監督は、リーとユージーンが恋に落ちる街角、バー、そしてホテルの部屋などを、ジョン・ヒューストン監督の映画『黄金』(48)のように、ハリウッドのバックロットで作られた、1950年代の撮影所的な雰囲気にしたいと思ったという。この章の屋内シーンには、登場人物の孤立感や断絶感を強調する視覚要素として、意図的に非対称になっているセットを取り入れ、登場人物の心の中を映し出す風景を目指した。

また、物語からにじみ出る鮮やかで明確な官能さを反映した色を選んだと語る通り、リーとユージーンが酒を飲みに行くバー「シップ・アホイ」や、リーがバーで出会った男性と向かう安ホテルの部屋などに、登場人物の熱望を反映するような、ネオンライトの光が溢れ、アール・デコ時代の色褪せた威厳が漂う空間を作り出した。グァダニーノとバイシは、ウォン・カーウァイの『花様年華』(00)に見られる、飽和状態で激しいロマンチックさをたたえた色を、これらのシーンの参考にしたという。

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