また、高橋は自らの発案でイタリア語に変換したとあるセリフに触れて「前回のフランス語に比べてイタリア語はカタカナ発音に近いのかなと思いました。フランス語よりはライトに出来たかな」というも「イタリア語にしたいと言った自業自得は僕にありますが、思った以上に長かった」とイタリア語の「ヘブンズ・ドアー」は自らのアイデアだったと明かした。「でもリズムは大切にしたかったので、そのままでやらせていただきました」と舞台裏を話した。さらに、「幸福の絶頂の時に“絶望”を味わう」という奇妙な呪いをかけられる本作にちなんで「最近、幸せに感じたこと」を聞かれた高橋は「ヴェネツィアから帰ってきた日の日本食がとにかく美味しかった。僕はやはり日本人だと。本当にご飯が美味しかった」と述べて「どこの…とは言えませんがスタンダードな丼ぶりが美味しかった!これは本当に幸せでした」と笑いを誘っていた。

さらにここでキャスト陣にはサプライズで、原作者・荒木先生からメッセージが届いた。「この度、実写映画化にあたって「オールヴェネツィアロケ」とお聞きし「そこまでやる(行く)のか…。」と思いました。『短編』だった作品が、『岸辺露伴』がそうやって広がっていくことがとても感慨深いです。旅情豊かで、人生があって、香り高い宝石のような第一級のサスペンス作品。私たちの目指すところはそこだからです」この言葉に高橋は「先生が仰る『私たち』の中に僕らが入っていると思うと、非常に身の引き締まる思いです。そしてこの映画に荒木先生が文章を寄せてくださるという事が一つの結実点だと思います。荒木先生の言葉に感動しますし、それにしっかりと応えられる強度のある作品になっているはずだと思っています」と胸を張った。

渡辺監督も「香り高い宝石のような第一級のサスペンス、というのは僕らが映画で目指していたところでもあるので、荒木先生の思いと勝手にリンクさせながら感動しています」としみじみ。改めてヴェネツィアロケを振り返り「本当に夢のような時間で、自分が思っている10倍、20倍のレスポンスが皆さんの芝居から返って来て、人の演じる力の凄さを感じることが出来ました。人間ドラマとしての完成度も楽しんでご覧いただければ幸いです」とアピールした。