続いて、パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレで行われた公式記者会見には、プロデューサーの水野詠子、Jason Gray、Christophe Bruncherも出席した。

(C)Kazuko-WAKAYAMA

本作の制作意図を尋ねられた早川監督は、「私が映画を撮りたいと思い始めたのは、『ルノワール』の主人公・フキと同じぐらいの年頃でした。その時に抱えていた気持ち、感覚をいつか絶対に映画にしたいと長年思ってきました。いつしか、子どもが主役の映画を撮りたいという思いを、今回、実現させることができました」と万感の表情。また、「子ども時代というのは、自分が何を感じているのか、起きているのかをなかなか言語化できない時期だと思うんです。当時、感じていた何か分からなかったものを、大人になって段々と分かってきて、自分は寂しかったんだ、哀しかったんだ、傷付いていたんだという気持ちを描きたいと思いました」と本作に込めた感情を明かした。

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続いて、早川監督と現場でどのようなやり取りがあったのかと質問を受けた鈴木は、「早川監督と一緒にフキちゃんの行動や考え方を話し合いました。監督と私は相性が良かったんじゃないかなと思うほど、スポン、スポンとピースがはまっていくような感じでした」と堂々と回答。早川監督は、「唯ちゃんにはディレクションをしなくても、彼女が自然にそのままのお芝居でやってくれたものがほんとうに素晴らしかった」と絶賛、そして、「彼女が言う通り、私たちはとても相性が良かったです。フキという少女について、私と唯ちゃんは誰よりも彼女のことを理解していたので、撮影の中盤からは何も説明してなくても分かるから大丈夫だという状況になっていました」と振り返った。

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セリフが少なく、出演者の演技から多くを感じ取る作品であると評したジャーナリストから、キャスティングについて聞かれた早川監督は「フキはキャスティングがとても重要になると考えていたので、見つかるまでとにかく何百人でもオーディションを続けようと臨んだのですが、鈴木唯ちゃんが一番最初にオーディションに現れた瞬間、“ここにフキが居る”と思い、すぐに決まってしまいました」と衝撃の出逢いだったことを明かした。

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