
本作で主人公・フキを演じるのは現在12歳の鈴木唯。昨年、俳優デビューしたばかりの超新星だ。映画撮影時は役柄同様11歳だった鈴木は、本作の主演をオーディションで射止めた。早川監督は彼女との出会いについて、「絶対に妥協せずにこの子だと思える子に巡り合うまで数百人と会って探すつもりだったのですが、最初にオーディションに来たのが鈴木唯ちゃんでした。しょっぱなでフキに出会ってしまったのです。唯ちゃんと出会えたことで、この映画を撮るべきだと確信しました。脚本も彼女に合わせてどんどん変わっていきました」と一目惚れだったことを明かす。そして、「唯ちゃんは動物のモノマネが得意ということで、実際に馬の鳴き真似をしてくれたのですが、彼女の自由で物怖じしない様子にすっかり心を奪われました。他にこんな人は会ったことがないと思えるほど魅力的な女の子でした。人見知りをせず、誰とでもすぐに打ち解けられる唯ちゃんのおかげで、終始明るく楽しい雰囲気の現場となりました」と撮影を振り返る。

親子を演じたリリー・フランキーは、鈴木の一番の魅力は“表情”だという。不完全な大人たちに接し、揺れ動くフキの心情を豊かな表情や眼差しで表現する鈴木に対して、「すごい素質があり、演技をすると思いました。思春期の時のいろいろな思いをくすぐる表情が映像に収められていること自体が貴重」だと語る。また、母親役の石田ひかりも「私たち大人ではできないお芝居をするので、日々うらやましく思いました」と鈴木の演技力を絶賛。
