本作の監督を務めたアレックス・ガーランドとA24の歴史は、彼が監督デビューを果たした『エクスマキナ』に遡る。小説家としてキャリアをスタートし脚本家に転身、以降ダニー・ボイル監督とのタッグで活躍を続けてきたガーランドは、このデビュー作で第88回アカデミー賞脚本賞の候補となり、視覚効果賞を受賞。その北米配給を担ったのが、当時設立3年目のA24だった。
それから7年、A24制作のもと世に放たれたのが、今回上映が決定した『MEN 同じ顔の男たち』である。夫の死を目撃してしまった女性が心の傷を癒すため自然あふれるイギリスの田舎町を訪れ、そこで同じ顔をした男たちに出会う中で迫りくる恐怖、そして自身の内にある恐怖に対峙する姿を描く物語だ。第75回カンヌ国際映画祭監督週間で上映された際は、衝撃的な展開に話題騒然となったが、ガーランドは本作の狙いについて「これまで撮ってきたどの作品よりも観客に議論して欲しい。」と話している。
A24との映画制作について、ガーランドは「自分の意見を突き通すために出資者と戦わなければならない時があるけれど、そういう意味ではA24との仕事は戦う必要が全くありません。自分にとって映画作りで一番重要なのは、クリエイティブな自由。A24では、人々が思い描いているとおりに、理想的な形で映画を作るんです。」と信頼関係が築けたことを明かしており、ここでの経験が昨年日本でも大ヒットを記録した『シビル・ウォーアメリカ最後の日』に繋がっていったことが窺える。そして、A24とのタッグ3作目となる『Warfare原題』も2026年日本公開が決定新たなアレックス・ガーランドの世界観に没入できるはずだ。