映画『フロントライン』では、2020年2月に横浜港に停泊していた豪華客船で新型コロナウイルスの集団感染が確認され、未曾有の事態に災害派遣医療チームDMATが対応にあたった姿が描かれる。2020年当時のことを小栗は「この時は日本を離れていた時期で海外にいたので、ロックダウンの状況で過ごすことを余儀なくされていて。日本のニュースを見ていると、この船が入港する姿が取り上げられていたり、物凄く不安のなかにいた事を覚えています。」と振り返り、横浜に行く機会があり実際にダイヤモンド・プリンセス号を見たという池松は当時の状況を「光景としてすごく残っています。本当に静かな海にウソみたいにキラキラしていた船を見て、これが報道されているダイヤモンド・プリンセス号かと思いながら見ていたんですけど。報道されている船内の状況とその光景のギャップに感情が追いついていかなかったですね。」と明かした。

さらに、実際に起きたことを真実に基づいて制作された本作でキャストがそれぞれ演じたキャラクターにはモデルとなる人物が存在する。そのうえで今回の役作りについて問われると小栗は「もちろんモデルの先生方がいらっしゃいますが、今回は実在する先生になるというよりは、役を通して彼らが受け取ったもの、体験したことを表現していく形だった。その当時経験されたことを僕らにも話してくれて、どんな想いで向き合っていたのかというのをお聞きして、DMATが一番にどんな事を選択していったのかを確実に大切にしながら結城という役をやっていこうと思っていました。実際に阿南先生の聴診器で診察するシーンもあり、いろんな事をサポートしてもらいました。」と答えた。松坂は「僕が演じた立松は、批判はされるけど評価はされにくい仕事と言いますか、いろんなプロセスを踏んでジャッジをしていかなければならないという周りには伝わりにくい仕事なんですけれども。今回の出来事との向き合い方をちゃんと提示したいと思って大事にしました。」と語り、船内で患者の対応にあたる医師・真田春人役を演じた池松は「当時乗り込まれたDMATの方が常に現場にいてくださって、真摯に現場を見守ってくださってとても助けになりました。医療従事者の役ということで、5年前の感謝、日ごろの感謝を含めて、大袈裟かもしれないですけど、捧げられるような役にしたいと思ってました。」と強い気持ちを明かした。

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