この度、5月27日にアフタートーク付き試写会が開催された。登壇したのは、『少女邂逅』で知られる映画監督の枝優花と、鋭い視点で社会を切り取るコラムニストの山崎まどか。

映画の上映後、熱気冷めやらぬ会場の大きな拍手に迎えられ、トークイベントがスタートした。枝監督は開口一番、「30代の今の自分に刺さりすぎて…かなり共感しました」と、率直な感想を吐露。劇中の主人公たちと年齢が近いこともあり、人生の岐路に立つ彼らの姿が、自身の感情と強く重なったという。山崎も、「本作がただの恋愛物語ではなく、決断という大きなテーマもある作品」と語り、物語の奥深さに触れた。

最初の話題は、フローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールドという豪華な主演二人について。映画では30代の等身大の男女を演じているが、ピューは現在29歳、ガーフィールドは41歳と、実際には年齢差がある。しかし、その年齢差を微塵も感じさせない自然な演技に、枝監督は「アンドリュー・ガーフィールドが演じたトビアスのあり方が、私の中では希望であり、新しいと感じた」と熱く語る。続けて、「男女逆の物語はこれまでたくさん見てきました。でも本作は、男性がキャリアのために女性に変化を求めるような関係とは違って、トビアスが愛する人のために自分を譲り、愛する人を尊重していく。その姿が、現代で生きる上でぶち当たる壁を乗り越える、新たな男性像として映りました」と絶賛した。一方、山崎は、フローレンス・ピューの魅力について、「彼女自身の生命力や思い切りの良さが、映画のリアリティを後押ししていた。俳優として真実味がある存在」だと力説。インスタグラムで料理動画を配信する日常的な顔から、役作りのための体型変化を拒否したり、ヌードシーンにも自然体で臨む彼女の姿勢が、自立した女性であるアルムートのキャラクターと完璧に重なっていたと指摘。「彼女はカメレオン俳優ではないが、言動にリアルな存在感がある」と、その魅力を称賛した。

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