そうやってあらためて演技について学ぶというのも、ふたりにとって⾮常に刺激的だったようで、南が「今までお芝居について学ぶ機会があまりなかったので。これまでワークショップに⾏ったことはあったんですけど、座学で学ぶという機会が本当になかった。だからすごく新鮮でしたし、勉強になりました」と語ると、⾺場も「台本をいただいてから、カメラの前に⽴つまでに、どういう順番で、どういう⾵に役をつくって準備していくか、ということを、机と椅⼦に座って話を聞いて勉強したんですけど、今まで本当にこういう機会がなくて。現場でなんとかするという感じだったので、これからお芝居を続けていくにあたっても、すごく助けになるなと」と晴れやかな顔を⾒せた。

実際に原作を読んでみた時のことを南が「3⼈が抱えているものは決して明るいものではないけど、でも悲観的じゃないというか。わたしは原作でも、わりとずっとトゲのある悪⼝が出てくるんですけど、それを読んでほほえましい気持ちにもなりましたし、それがちゃんと⼀歩前に進む物語になっていて。すてきだなと思いました」と振り返ると、⾺場も「わたしもすごくグッサリときたシーンがあって。陽彩が、雅のことを⼈間扱いしてくれるのが好きだというところなんですが、(それまで雅は)他⼈からも⾃分からも⼥扱いされてきたということもあって。もちろんそれは駄⽬なことではないんですけど、それが苦しいなと思ってグッサリときた。そういえば⾃分でもそういう⾵に考えた瞬間があったなと思い出しました」と語った。

また南は印象的なシーンとして、池に浮かぶ場⾯を挙げた。「私、⽔がそもそも苦⼿なんです。浸かるのが怖くて。気持ちの⾯でもそうだし、物理的にもすごく⼤変でした」と当時を振り返る。撮影時にはなかなか⽔に浮かぶことができず、監督が横で背中を⽀えてくれたといい、井樫監督は「外から偉そうに⾒ているだけじゃダメだなと思って」と語り、現場で監督⾃ら直接体を張って撮影していたことを語った。⼀⽅、⾺場が挙げたのは⾃転⾞の⼆⼈乗りシーン。「結構な⼭道で、カーブの多い下り坂。南さんを後ろに乗せて、前には軽トラに乗ったカメラがいて、その距離を保ちながら安全に運転して、なおかつセリフも⾔わなきゃいけない。やることが多すぎて、かなり⼤変でした」と撮影時の苦労を語った。

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