上映後には平監督と主題歌を担当したAnlyの2⼈が登壇。本作を鑑賞したばかりの⽣徒からの質疑を受けた。「なぜこの映画を撮ろうと思ったのですか?」との質問に対して、本作をきっかけに沖縄戦に改めて向き合ったという平監督は「戦争について考えてもらう時に、『⽊の上の軍隊』のテーマ⾃体が、興味を持ってもらえる要素だと思います。戦争の悲惨さや平和の⼤切さを、この物語を通してより届けられるのではないかと考えました」と語った。

別の⽣徒からは「俳優の皆さんはどのような気持ちで撮影に挑んでいたのですか?」という質問が⾶んだ。主演の堤真⼀、⼭⽥裕貴の2⼈は、沖縄戦当時の痩せた⽇本兵を演じるにあたり減量していたことに触れ、平監督は「⾝体を作るというよりはむしろ、(空腹に苦しむような)気持ちを作るために⾷事制限をしていました」と裏話を披露。

「主題歌をなぜAnlyさんにお願いしたのですか?」という問いに、平監督は「Anlyさんしかありえないと思ってお願いしました。伊江島で撮れた伊江島の物語の中の伊江島の景⾊には、伊江島で⽣まれ育ったアイデンティティの歌声が聴こえてくるのが理想でした」と回顧。それを受けてAnlyは「私以外に誰がやるんだというくらいの気持ちで、使命感を持って⼀⽣懸命取り組もうと思っていました」と述べた。

作中では、戦闘で死亡したりケガを負ったりするシーンも⽣々しく描かれている。⽣徒からの「苦しそうに亡くなっていく俳優の皆さんの演技が上⼿だった」との感想を受けた平監督は「死者は漠然と数で捉えるのではなくて、『⼀⼈⼀⼈の死』としてしっかり描きたかった。そのためにも、死の苦しみを残酷さを通して伝えるという意図がありました。観ていて⾟くなることもあったと思いますが、その反⾯、⽣きている喜びを感じるシーンや、笑ったりふざけたりするシーンが浮き出るように意識しました」と説明した。

さらに、⽣徒たちへのメッセージとして、作中で主⼈公の“⽊の上のふたり”が、些細な⽇常を希求していたことに触れつつ「当たり前の⽇常がいかに尊いのかを、この映画で描きました。学校帰りに海に⾏ったり、家族でスーパーに⾏ったり、そういったさりげない⽇常は(当たり前すぎて)忘れてしまうかもしれませんが、それを⽇常のこととして忘れられること⾃体が、平和な状態にあるのだと思います。この今の“平和の状態”がどんなものなのか、よく覚えていてほしいです」と語りかけた。

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