さらに、6月13日にシネマQで行われた舞台挨拶では、平一紘監督をはじめ、津波竜斗、玉代㔟圭司、城間やよい、真栄城美鈴ら沖縄出身のキャストたち、さらには主題歌を担当したAnlyが登壇し、沖縄先行公開を盛り上げた。この日参加できなかったW主演の堤真一と山田裕貴からも「たくさんの方に観てもらえることを祈っています」という映像メッセージが届けられ、会場を沸かした。

安慶名の親友・与那嶺を演じた津波竜斗は「この映画は、“生きる”ということをテーマにしていて、昨日まで普通に話していた家族だったり友達だったり大切な人が一瞬にして命を落としてしまう、そういうシーンを演じたり見たりしているときに、本当にとんでもない時代があったんだなと。生きることが大変なあの時代を、僕のおじいちゃんやおばあちゃんが生き抜いてきてくれたからこそ、今僕はここに存在していて、この映画に携わることができて本当に嬉しいです」、沖縄本島から徴兵された兵士・長田を演じた玉代㔟圭司は「完成した作品を観て、『蟪蛄春秋を識らず』(けいこしゅんじゅうをしらず)という言葉を思い出しました。僕は沖縄で生まれ沖縄で育ってきたのですが、こういった実在の人がいたことは知りませんでした。なので、この作品を観ていただいた方が隣にいる方に伝えていただくことで、回り回って多くの方々に伝わればいいなと思います。また次の世代の人たちに向けて、こういった真実があったんだということや沖縄のことを、より深く知れるようなきっかけになってくれたらいいなと思います」、安慶名の母親・郁子を演じた城間やよいは「私に与えられた役目としてウチナーンチュでいること、そしてこのような沖縄戦を描いた作品に関わらせていただくというのは、沖縄の唄『艦砲ぬ喰ぇー残さー(かんぽうぬくぇーぬくさー)』(艦砲射撃の食い残し)にもありますように、いまだに地球上から戦争がなくなっていないという中で、少しでもそういった現状にある方や、戦争とは関係なくとも辛い想いをされている方々に笑顔が届くように、という想いを込めて演じさせていただきました」、主題歌「ニヌファブシ」を手掛けた伊江島出身のAnly は「この映画を観て、お互いの心を知って、平和に一歩一歩近づくような世界になってほしいなと思って、『ニヌファブシ』(=北極星)のように揺るがない想いでこの曲を歌い続けていきたいなと思います」、平一紘監督は「僕は今35歳なのですが、この映画に関わるまで真剣に沖縄戦と向き合ってこなかった。この映画を通して2年間取材をして、色々な方の話をたくさん聞いて、伊江島の真実と向き合って初めて迎えたその年の『慰霊の日』、黙祷したときに涙が止まりませんでした。どうやったらそれを皆さんに届けられるだろうと考えたときに、『木の上の軍隊』という物語は、非常にシンプルな「生きる」というメッセージが込められていて、その中に“面白さ”があるからこそ、この(戦後)80年という節目に大切なことを多くの方に届けられると思いました。なので、この映画に対する想いは、皆さんが面白いと思ってもらったストーリーにこそあります。色々な想いを受け取ってもらい、それを皆さんの大切な人に伝えてほしいなと思います」とそれぞれ本作に込めた想いを語った。




