この度、原作・辻村深月氏から「2020年、あの時を生きた、皆さんへ」のお手紙と共に、主演・茨城県立砂浦第三高校の二年生・溪本亜紗を演じた桜田ひよりさんの新ビジュアルは茨城新聞で、東京の中学生を演じた黒川想矢さんは東京新聞で、長崎五島に住む高校生を演じた中野有紗さんは長崎新聞で掲載。

【小説・辻村深月氏のお手紙について】

2020年、あの時を生きた、皆さんへ。

今から5年前の夏、皆さんは何歳で、どんなふうに過ごしていましたか?

私が『この夏の星を見る』の原作小説を書いたのは2021年。最初はただ「現代の青春小説を書こう」という気持ちで、作中にコロナ禍を描くかどうかは決まっていませんでした。だけど、今回、映画になって、なぜこの物語が書きたかったのか、わかりました。

原作の後半、彼らの顧問を務める先生がこう言います。
「失われたって言葉をつかうのがね、私はずっと抵抗があったんです」
「実際に失われたものはあったろうし、奪われたものもある。だけど、彼らの時間がまるごと何もなかったかのように言われるのは心外です。子どもだって大人だって、この一年は一度しかない。きちんと、そこに時間も経験もありました」

今、5年前の夏が「あの夏」として振り返るものになっても、あの年を過ごした一人一人にとってその年の「この夏」はただ一度きりのかけがえのないものだったはずです。
あの時を生きた皆さんと、もう一度、「この夏の星」を一緒に見られたら、とても嬉しいです。

辻村深月

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