宮崎から派兵された厳格な少尉・山下一雄(堤真一)と安慶名の関係性やその変化を描くために、平監督は「演じるお二人がまるで木の上で暮らすように撮影をしました。沖縄で実際に戦場になった伊江島に本物のガジュマルの木を植え、最初のシーンから最後まで脚本通りにほぼ順撮り(順番に撮影していくこと)をしました。お二人には、脚本に描かれていることに沿って木の上で生きてほしいというお願いをしました」と撮影を振り返った。

また沖縄出身の平監督は「僕が生まれた場所は戦争があった場所だとわかっていたし、小さいころから平和教育とか受けてはきたけれど、本作製作のための取材をするまで(沖縄戦に)真剣に向き合ってきませんでした。この映画を通して一番成長したのは僕だったのかもしれません」と実感。取材には2年をかけたそうで「安慶名と山下という二人のキャラクターに自分の意識や価値観も持っていきたかった。当時どんな思いで戦ったのか知りたくて調べたら、やはり辛い事ばかりだった。ただ僕のような沖縄戦から目を背け続けてきた人たちにこそ本作を届けたいと思いました。なのでたくさん工夫して、コメディシーンや涙が出るシーンを入れたりしてエンタメ作品として仕上げました。僕自身に向けて作ったと言っても過言ではないくらい、僕はこの映画を届かない人にこそ届けたいと思いました」と本作への想いを口にした。

外国特派員協会で会見を開いた意義について平監督は「戦争が起こす悲劇は、子供や民間の力がないような一番弱いものに向く。大国同士の争いになった時に辺境の国、島の人たちが悲惨な争いに巻き込まれる。この作品は日本とアメリカの争いを描いたものではなく、衝突のはざまにいる小さな人たちがどんな風に生き抜くのか描いたつもりなので、本作が色々な国と地域の人々に届くように願っています」と期待。

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