8mm映画の自主制作を皮切りに、商業映画デビュー作『の・ようなもの』(81)以来、独立独歩のフィルムメーカーとして1980年代以降の日本映画に絶え間なく話題作を提供してきた森田芳光(1950-2011)。

作家的評価を高めた『家族ゲーム』(83)や『それから』(85)、新しいメディアに着目しながら普遍的なコミュニケーションのドラマを描き出した『(ハル)』(96)、ベストセラー小説を独自の解釈で映画化した『失楽園』(97)や『黒い家』(99)――喜劇、アイドル映画、文芸映画、恋愛映画、ホラー映画、ミステリー映画、時代劇といったジャンルの垣根を取り払い、時代の世相も巧みに取り入れながら、一作ごとに異なるスタイルや意表をつく演出を盛り込んだ作品群は、時に社会現象となるほどの大きな反響を呼び起こした。
近年、森田芳光の作品は米国、フランス、韓国、台湾など世界の各地で上映されており、国際的な再評価が活発になっています。没後15年となる2026年を前に、国立映画アーカイブでは、8月12日より展覧会「映画監督 森田芳光」を開催。本企画は、10月14日より開催する上映企画との連動により、森田の活躍の軌跡をたどる特集となっている。
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