転落事故で夫を亡くした北久里子(河合優実)の話を聞いたフキが水風船を階下に落下させる場面について、フキの心境を問われた鈴木は「自分でもどのような感情で演じているのか実はわかっていなくて、自分の中には何人かの自分がいて、その自分の中にフキの自分を作って演じていたので、自分でも別の心情はわからない」と返答。これに早川監督は「考えないでやったこと、それがいい」と絶賛しながら「私自身、子どもの頃は自分が何を考えているのか考えていなかった。同じマンションに住む不思議な女性から話を聞いて、こんな高い所から落ちたらどれだけ痛いのか。好奇心から持っていた水風船を落とす。それ以上のことをフキは考えていないと思う。でも頭の片隅では何かを感じている。それを表現したかった」と当該シーンに込めた意図を説明した。

また自分と役との切り替えについて聞かれた鈴木は「カチンコの音で切り替えることが出来た。カチンコの音でクルッと変われる」と述べると、早川監督も「変わっていましたね!」とメリハリのある成り切りぶりに舌を巻いていた。

ラストシーンが印象的だったという感想に鈴木は「私も特に好きなシーンのひとつです。映画で描かれているラストは、脚本とは変わったのですが、とてもいいなと思いました」と秘話を披露。早川監督は「お母さんがテレパシーでフキが何を考えているのか当てようとしたシーンは、お母さんが出した答えが当たっているか当たっていないかは描いていないけれど、フキは微笑む。この母子は大丈夫だと感じさせたかった場面です」と狙いを明かした。

船の上でフキが踊る場面について「夢なのか、現実なのか?」との質問が出ると、鈴木は「夢と現実の間の感じ。」と自身の見解を述べた。早川監督は「予知夢かもしれないし、妄想かもしれないし、フキのお母さんの夢かも知れない。観客の皆さんが色々な風に捉えてもいいように作りました」と答えた。