いよいよ本題の映画の話となり、完成した作品を観た時の感想を聞かれ、堤は「反戦の映画ではあるけれど、作品全体が被害者であるとか英雄視とかではなく、いかにして生き延びることが素晴らしいか、いかに今が平和か気づくだろうし、それを守っていかないといけない。見終わった後に、本当にいい映画だなと思った」と、作品への想いと自信をのぞかせた。
山田は「監督の想いでもあると思うのですが、戦争映画となると気を引き締めて劇場へ行かないといけないと思うけど、戦争の悲惨さや、戦争がダメなことだけを訴えたいのではなく、価値観の違う2人がどうやって一緒に生きていくか、生きようとするか。今の僕たちの世界では当たり前にある幸せな時代を生きていて、過去にはそうではない時間があって、それを知らない世代、僕も含めて、そういう人たちに伝えていける映画になるのかなと思った」と、山田の世代ならではの想いを吐露。
2人が約1ヶ月、沖縄本島と伊江島で監督やスタッフとリアルにこだわって撮影したエピソードなども語り、山田は「沖縄で撮影した沖縄の作品だからではなく、スタッフみんな元々熱量の高い人が集まっていて、そこに沖縄の朗らかさが加わり温かい現場でした」と、一丸となって撮影したことを振り返った。本作で初共演の堤と山田が最初に撮影したシーンは「ソテツの実を食べられるようにするシーンだった」という裏話も。そして、堤との共演について山田は「楽しかったです!戦争を題材にしている作品なので、苦労や大変なことを聞かれますが、何かを苦に思ったことはなく、それは堤さんがどんな芝居をしても拾ってくれる安心感があって、木の上の2人の関係性をつなぎとめてくれる安心感があって、ただ楽しかった」と明かした。
お互いの演技で印象に残っているシーンについて、堤は「海のシーンですね。(山田の)振り返った表情、あれは感動しました」と答えると、山田は「(自身が演じた)安慶名の気持ちもリンクしているのかもしれないけど、木の上で言い合うシーンや、ごみ山で堤さんがパスタを食べるシーンでは、怒りと悲しみが混じっていろんな感情になって、どういう顔をしてよいかわからなかった。不思議な感覚でした」と語った。
