堤と山田の2人きりの舞台挨拶は、実は今回が初めて。山田から堤に、「先に僕のクランクアップシーンがあって、スタッフにも囲まれて、僕が堤さんに『ありがとうございました』と言うと、ハグしてくれて、顔を見たら目がウルウルしていて。それは、そのシーンの続きの上官としてなのか、僕、山田裕貴として過ごした日々にお疲れ様なのか、どっちか気になっていた」と、撮影中に聞けなかったことを質問。すると堤は「あんなところで芝居をするわけないだろう!!」と言い切り、会場からは拍手喝采。続けて堤は「戦友という気持ちが強く、苦労しただけではなく楽しかったし、前向きな現場だったし、スタッフみんな明るくて、いい作品ができる!という思いもあって、山田くんに労いの言葉とハグをしました」と熱弁。それを聞いて感動している山田を前に、「堤さんは、山田さんに聞きたいことはありますか?」とMCに聞かれ、「ないですね」とキッパリ。山田は新喜劇のようにズッコケ、その息のピッタリさに会場は笑いに包まれた。

最後の挨拶で、山田は「実際にモデルとなった佐次田さん、山口さんお二人が、どんなことを感じながら木の上にいたんだろうと、そこに思いを馳せながら1ヶ月間過ごしました。お二人の思いだったり、過去生きてきた人たちの戦争に対することだったり、戦争だけでなく今を生きるすべての人たちに、“生きることが何よりも大事なんだ”ということを、この作品はメッセージとして持っていると思います。明日も頑張って生きるか!という力を、皆さんに与えられたらなと思っております。これから全国に届けるために頑張っていきますので、みなさんも感想などあったら、つぶやいてください」と熱く語った。
続いて、堤は少し考えながら「戦争はやっぱりいけないっていうのは、みんなわかっていることで、そんな目にも遭いたくないし、でも今までの映画は死んでいく人たちを、ある種美しく描いたりするものが多いけど、これは唯一、最も腰抜け野郎がヒーローの映画だと思っています。時代が変わって、腰抜けでもいいんだ、生き抜くことの方が一番難しいんだ、そのことが一番大事なんだ、ということを多くの人に伝えたい。監督もそう願っていると思う。沖縄の人たちが、この映画を作るにあたって全面的に協力してくれて、それは“こんな目に遭ったから、これを見ろ”という思いではなくて、“いいものを、本当のことを伝えて欲しい”という気持ちと、彼らの前向きに生きる姿がすごく反映されていて。みんなも僕たちもいろんな意味で自分たちの祖先が生き残ってくれたから、今僕が存在しているんだということを、この映画を観た後に感じたので、皆さんもそういう思いを感じてもらえたらすごく嬉しいなと思います。そしてせっかくですから、お友達とか、(観客の中に)小学生の子もいるけど、きっと(内容を)理解してもらえると思うので、たくさんの子供たちにも観てもらいたいと思います」と幅広い世代へ向けてのメッセージを語って舞台挨拶は終了した。