そして、満員御礼の客席からの質問に答えるコーナーも設けられ、「“不死身”のムオムに沖縄古典空手の型サンチン(三戦)を取り入れた理由は?」という問いに、石井は「サンチンには500年の歴史があり、当時は沖縄の限られた人しか出来なかった空手の型でした。しかもサンチン使いには不思議な力を出す人が多いので、それをムオムに反映させたら面白いのではないかと思ったから」とマニアックな質問に喜色満面で回答するなど、大いに盛り上がった。

長らく次元大介の声を務め、2022年7月に亡くなった声優・小林清志さんのエピソードを問われた浄園は「アフレコ現場でボソッと『このカットいいな』『ルパンの表情いいな』とか感想を言ってくれたことが何度かありました。面と向かっては言わないけれど、ボソッと漏らしたような言葉がブースに伝わって聞こえてくる。そのようなカットがいくつかあって嬉しかったです」と回想。小池監督も「アフレコをしていてこちらがOKと言っても、御本人がもう一度挑戦したいと言われて何度か挑んでもらったこともあります。作品を自分なりに掘り下げて自分のベストを出そうと意気込まれていたのがとても印象的でした」とプロフェッショナルぶりを紹介した。

また小池版五ェ門でのこだわりを聞かれると、小池監督は「無敵の剣士という側面だけではなく、弱点や未熟さを表現する必要があると思ったので、修行シーンを作ったり、殺陣のコンテを丁寧に作っていきました。リアルな雰囲気の五ェ門の殺陣を見ていただきたかった」と解説。石井は「五ェ門のちょっとした動きもいい。高い所を登る時にガニ股になったりして渋い」と会場の笑いを誘い、浄園は「地に足の着いた五ェ門像にすることで、斬鉄剣の切れ味とその痛みをリアルに描きたかった」と狙いを明かした。また峰不二子の造形のインスパイア元を聞かれると、小池監督はヨーロッパを代表するモデルで女優のジェーン・バーキンの名前を挙げた。「僕は彼女が活躍した1970年代のファッションが好きだし、モンキー・パンチ先生が描かれるボンドガールのような峰不二子が好きでした。僕のシリーズではその雰囲気をイメージしつつ、楽しんで衣装を作っていきました」と明かした。