河瀨直美監督の最新作『たしかにあった幻』が、2026年2月に全国公開が決定!
『たしかにあった幻』は、小児臓器移植実施施設を舞台に、命のともしびを照らす「愛」の物語。フランスからやってきたレシピエント移植コーディネーター・コリーが、脳死ドナーの家族や臓器提供を待つ少年少女とその家族と関わりながら、命の尊さと向き合う。同時に、突然失踪した恋人の行方を追うコリーの姿を通じて、愛と喪失、希望を描く。
これまで『あん』(15)ではハンセン病を抱える女性、『光』(17)では視力を失っていく男性、『朝が来る』(20)では特別養子縁組の夫婦を取り上げ、社会的偏見や喪失の中で、他者との関係性を通して救われる「愛のかたち」を描いてきた河瀨監督。本作でも、深い人間ドラマを通じて命と愛の意味を問いかける。
撮影期間は2024年6月から11月。兵庫、大阪、奈良、岐阜、屋久島、パリとロケーションを転々としながら実施された。小児臓器移植に携わる実際の医療関係者たちが、現在の日本が抱える臓器移植の問題点をディスカッションするシーンや、移植手術シーンなどはドキュメントとして撮影され、それをドラマの中に巧みに取り込むことによって物語にリアリティと臨場感を持たせている。

主人公・コリーを演じるのは、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ファントム・スレッド』(17)への出演をきっかけに国際的な名声を獲得したヴィッキー・クリープス。臓器移植の現場で命と向き合いながら、失踪した恋⼈の⾜跡を辿る姿は忘れることのできない印象を残す。コリーの恋人であり、突然失踪する迅を演じるのは、若手実力派俳優・寛一郎。静謐な演技の中に宿した鋭さに、誰もが心を奪われるだろう。