さらに、三人は初タッグであったことについて、真利子監督は西島に対して「西島さんは好きな俳優さんだったのでオファーさせていただいたのですが、映画に対する愛情がすごく強いという印象で、信頼できる方だと感じていました。ボロボロになる役が似合う印象があって、言語が何であっても、言葉に頼らず役を生き抜いてくれる印象がありました」と印象を語り、ルンメイに対しても「ルンメイさんも一映画ファンとして映画にご出演されるところを見て、繊細なことができる女優さんであり、強さも持っていらっしゃるのでお願いしたいと思った」と想像しながら、実際に撮影した際には「何事にも感謝して過ごしている方だと思いました。全てのことに献身的で全力でやってくれる、何もかも空っぽで挑んでくれるすごい俳優さんです」と映画ファンとして、監督としての感謝を伝えた。また、西島のことを「追い込まれてボロボロになる役が似合う」と評する真利子監督だが、本作でも追い込まれていく西島の姿について「共に同年代で、同じように映画を観てきた信頼できる相手ということで、“どこまでいけるか”ということを西島さんと共有できました。信頼関係があったからできたことですが、そもそも英語の脚本なので、最初から追い込んでいる自覚はありましたが…(笑)そういう負担はあるだろうと思っていたので、西島さんともルンメイさんともコミュニケーションは取るように努めましたが、二人とも普通にそれをお芝居として成立させていたのはさすがでした。」と撮影の様子を振り返った。

また西島は共演したルンメイの印象を聞かれると「(ルンメイさんは)アジアを代表する素晴らしい俳優さんだと思います。とにかく全てを作品に投げ出す方で、1ヶ月半の撮影期間中、休みの日も含めて準備を丁寧にやっていらっしゃっていました。こんなにナチュラルに演技をする方がいるんだと感動しました。何度テストや演技をやっても集中力を切らさない方で、改めて自分がどういう演技が、どういう俳優が理想だったのかということを、見つめ直す機会を与えてくださった、本当に素晴らしい俳優さんです」と感謝と尊敬しきり。それを受けルンメイは「そのようにおっしゃってくださってありがたいです。西島さんとご一緒することはとても光栄なことでした。西島さんはとても落ち着いていて冷静なのですが、心の中には無尽の情熱が渦巻いていると思うんです。例えば、芝居自体は変わっていないんですが、演技やリアクションが毎回微妙に違うんです。西島さんは大きな木で、その下で私は思う存分遊ぶことができる。毎回異なるエネルギーを受けさせていただいて、俳優として共演ができることはとても幸せです。だから私は準備を万全にして、現場ではエネルギーを浴びながら自由に演技させていただいたんです」と西島の俳優としての度量を褒め称えた。