<林かなみ 役:主演 奈緒 コメント>

私をイメージして脚本を書いているという、役者としてこれ以上ないほどの幸せなお話を、監督から聞いたのは2023年のことでした。
⼀年の時を経て⼿元に届いた台本は、「あいまいな喪失」から始まる愛の物語でした。読んだ時、背中にそっと誰かの⼿が置かれたような温かさに、⾃然と涙が出たのを覚えています。
そんな温かい本を書いた⼭⻄監督の演出が、どれほどむずかしく、おもしろく、刺激的だったのかは、話し始めると尽きないので…公開までに、感謝の⾔葉と共にノートにまとめておこうと思います。
映画『かすかな彼を抱きしめて』を⾒てくださった後、⾃分の中に居る⼤切な⼈の輪郭が、ふと浮かぶかもしれません。それも皆さんの愛なのだと、私は信じています。

<野上純 役:坂東⿓汰 コメント>

初めて台本を読んだとき、⼭⻄監督の紡ぎ出す世界に魅了されました。
そして主演が奈緒さんだと知り、この船に⾃分も乗ってみたいと思いました。
純という謎の多い⼈物を前にして、どうアプローチしていくか、撮影に⼊るまで、そして撮影に⼊ってからも、ずっと考えていたような気がします。
監督が撮影前にリハーサルの時間を設けてくださり、奈緒さんと三⼈で⾔葉や⾝体の置き場所を探りながら、少しずつ馴染んでいくことができました。
美しい街の⾵景や、そこで⾷べた美味しいものもこの映画の記憶の⼀部になっています。
完成した映画を観て、スクリーンの中いっぱいにスタッフさんたちの独創的なアイデアが詰まっていて、その⼀つひとつに⼼を動かされました。
静かに揺れているもの、⽬には⾒えないけれど確かにそこにあるもの。
そんなものを、この映画はそっと掬い上げているように思います。
ぜひ劇場で受け取っていただけたら嬉しいです。

<⻑原優 役:⼤東駿介 コメント>

台本を頂いて、フラットな気持ちで読んだつもりだったのですが、本を閉じるころには感情が溢れ、⼭⻄監督の創るこの作品の世界に、この共演者のみなさんと⽣きたいと思いました。
ありがたいことに、撮影前に丁寧なリハーサルの時間を頂き、芝居のこと、シーンのこと、この作品の向かうべき場所をみんなで共有できました。⼭⻄監督の演出は芝居だけではなく、カメラアングル、ワーク、照明、台詞回し、その全てが重なって、映画作品だからこそできる⼼情表現、映像美を⽬指していて、新鮮で⾯⽩かったです。
⽣きていれば誰しも忘れられない別れがあると思います。僕にもいます。その⼈との⽌まった時計とどう向き合うか。この作品を通してその時計が動き出した気がします。
あなたの⼤切な誰かとの⼤切な時間を⼤切に想える作品になればと思います。

<林幸助 役:中島歩 コメント>

台本を読んで浮かんだ景⾊が、⽬の前に現れていくような不思議な撮影でした。夢のような、記憶のようなあいまいで美しい映像が撮れたと思います。
なんて、私が撮影したような⼝ぶりですが私はもちろん俳優部として参加しています。
ともかく映画館という暗闇の箱の中で観ることで、夢や記憶の中に浸るような体験ができますのでぜひ劇場へ⾜をお運びください。

<⼭⻄⻯⽮監督 コメント>

さよならだけが⼈⽣だという⾔葉がありますが、「さよならさえ⾔えない別れ」も、世の中には存在します。
遺体に会えないまま⼤切な⼈を失ったとき、喪失を受け⼊れることも別れを告げることもできず、仄暗い苦しみの渦から抜け出せなくなってしまう。
そんな「あいまいな喪失」という概念を知ったとき、ほとんど直感的に、それをテーマにした映画を作りたいと思いました。
主⼈公のかなみ役に奈緒さんの顔が浮かび、当て書きで執筆を始めたのが、今から4年前のことです。
そこから、坂東さん、⼤東さん、中島さんをはじめとする素晴らしいキャスト、才能あふれるスタッフが集まってくれ、この難しい題材と私はがっぷり組み合うことができました。
誰かを深く愛すること。その喪失に向き合うこと。⽣きていくこと。
今の⾃分にできる限り、それらの本質を捉えようと試み、作品の中に散りばめたつもりです。
この映画が、誰かのささやかな⽀えや癒しになることを願っています。

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