上映中は母親と息子、妻と夫、姉と弟の掛け合いを中心に何度も笑いが起き、観客が楽しみながら映画を鑑賞する様子がうかがえた。客電がつくと同時に3人を迎えたのは笑顔で立ちあがる観客たちの温かい拍手だった。

日本公開に先駆けて、世界初お披露目となった上映会を一緒に鑑賞した阪本監督は「いろいろな国際映画祭に行きましたけど、画面を見つめる姿や背中を見ていると、何もこぼさず見届けようみたいなそういう姿勢がありますよね。それを感じました。ちゃんと集中してもらっているなと思いました。観ている途中からこういう環境の中で、この国で観ている喜びを感じました。」と語り、若い観客が多いことに驚いていた若葉は「10代の女の子たちが本当に感激したという声をかけてくれたんです。男性の方が(劇中に登場するエピソードの一つである)ピアスの仕草をして、「フリーダム!フリーダム!」と言っていて、心にも自由のピアスを持って、みたいな意味かなと思いました。その彼も20歳くらいの若い方で、物語がちゃんと届いているという感じがすごい嬉しかったです。けっこう感激してしまいました。届いた!みたいな気持ちです。世代は関係なく、こうやって映画は届いていくんだなと思いました。」と感激した様子を見せた。多くの観客から写真撮影を求められて驚きの表情を浮かべていた田部井進也は「フィクションではありますが、海を越えて世界の人たちに、事実としてそういう女性が50年前にチャレンジしたことがあるよ、その人がガンになって、それでも色んな思いを持って山に登り続けたっていうことを伝えられるのは感謝でしかありません。」と何度も感謝の言葉を述べて会場を後にした。
