ー 青年期である過去パートと現代パートがありますが、撮影の手法など意識された点はございますか。
方法論としては、過去パートをセピアにするとか粒子感を変えるなどはあると思うのですが、そのようなことはやめようとなり、地続きの物語なので過去にあった話で終わりではなく、あえて分割した感じは出さないようにしました。吉永さん、のんさんは同じキャラクターを演じるということで、田部井淳子さんの気質のなかからヒントになる言葉をお二人にお伝えして、共通した意識で演じてもらえるようにしました。現代パートの撮影が先だったので、参考になるようにのんさんには吉永さんが純子を演じている様子を、工藤さんには佐藤さんが正明を演じている様子を見ていただき、それぞれのキャラクターを実感しながら演じてもらいました。
田部井進也さんには富士山や立山など、山の撮影に山岳アドバイザーとして参加いただいたのですが、吉永小百合さん演じる多部純子に「母を感じました」と仰っていただきました。実在の人物・エピソードを基にしながらもフィクションであるということに理解をいただいたうえで「あとは託します」と言っていただけたので、大変有難かったです。
