さらに、横田選手の引退試合の際、平田監督が横田選手に「センターに入れ」と言ったことを秋山が明かすと、平田は「『どこを守りたいんや』って聞いたら、気を遣って『ライト』って言ったんです。センターはボールが見えなかったら迷惑かけると思ったんでしょうね。『ライトを守らせてください』って言うから、『バカたれ!お前はセンターやろ!』って。そこから2、3日しかなかったけど、『センターで練習しとけ。センター以外のポジションはせんでいい!』と言った」と裏側を明かした。

実は、球団とは、「ボールが見えないから、9回の2アウト、あと1人の時に出すという話だった」そうだが、平田は「9回の1イニング守らせます」と主張し、球団もOKしたそう。しかし、「8回、2対1で勝ってて、2アウト2塁になったんです。僕は横田が打つ姿や守ってる姿も好きなんですけど、自分のポジションまで全力疾走で走ってる姿を若い選手たちに見せたいと思って。「ヨコ、ちょっとキャッチボールしろ」と。9回に皆でポジションにつくより、横田が1人で行った方が目に焼き付くやろと思って。ヨコはびっくりしてましたよ。ヨコが走っていく姿は今でも思い出します」と、あの日に思いを馳せていた。

続けて横田選手の“奇跡のバックホーム”について、平田監督は強い口調でこう語った。「「奇跡のバックホーム」が横田の本のタイトルになってますが、あれは奇跡じゃないんです。彼は毎日練習してましたから、これこそ彼の努力の結晶なんです。奇跡でもなんでもない。バックホームの前に、左中間に飛んだボールを、カットマンにバチっと投げたんです。しっかり投げられるし、ボールが見えてるんかと思って。2対2に追いつかれた後に、センター前に打たれて、それをヨコがとって、ノーバウンドのバックホームですよ。未だに、あの時いた選手たちの目に焼き付いてます。ベンチの前に出て、全員号泣ですよ」と、あのバックホームは横田選手の努力の証だと熱弁。「9回には横田慎太郎のところには打球が飛んでこなかったので、今考えると、いろんな運が凝縮された1イニングでした」と振り返った。

さらに鈴木は、「入団時の色紙の“日々成長”という言葉を甲子園歴史館で見て、私たちにとっても大事な言葉だから自分もその言葉を胸に仕事をしようと思った」と目を潤ませ、横田選手の生き方が今も多くの人に影響を与え続けていることを実感。

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