同作で心を揺さぶるのが、純子と正明の夫婦の関係性。二人で富士山に登る場面は特に感動的だ。吉永は「浩市さんは高所恐怖症だと仰っていて、私は『富士山はどうだろう』と心配していたのですが、七合目くらいではものすごく力強く私を引き上げてくださいました。だから高所恐怖症というのは“三味線”だったのではないかと私は思っています。あと純子が、手が痺れて料理ができなくなるシーンでは、浩市さんが夫役として料理を作ってくださいました。すごく上手で、大根の面取りなども普段からやっていらっしゃるのか、奥様から教わっていらっしゃるのか謎なのですが、安心して夫婦の関係をお互いに演じられました」と思い返した。

ちなみに吉永と天海は同作を通してさらに絆が深まったようで、「もし親友になったら、二人でやりたいことは?」との質問に対し、天海が「小百合さんと親友だなんて、百万年早いです」と謙遜しながら、「旅行がしたいです。これが実現するならカメラに付いて来ていただいて。私が全部企画して、小百合さんを(旅に)お連れするので」と旅行プランを打ち明けると、吉永は「いつも天海さんから500文字くらいメールが届くのですが、それで励まされることがとても多かったです」と天海への信頼を表した。

記者会見の最後には、吉永は「田部井さんは『人生、八合目からがおもしろい』とおっしゃっていました。ちょうど私もその辺に差し掛かっています。これからも一歩ずつ、田部井淳子さんのように歩いていきたいと思います」、天海は「自分が信じた道を一生懸命、一歩一歩、歩いていくということをこの映画を見て実感していただけたら。見ていただいた方の心に、田部井さんの想いや、スタッフ、キャストのみなさんの想いが届くように祈っています」、阪本監督は「劇中には高校生たちがたくさん出て来ます。思春期の子どもたちにもたくさん見ていただきたいです。昨今、道標になるような大人を見かけなくなりました。ですから高校生のみなさんに『あなたたちの映画でもあります』と思っています」とそれぞれ作品をアピールした。

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