本作は吉井のドキュメンタリーであると同時に、吉井をロックの世界に導いたもうひとりの主人公であり、闘病生活を送っているEROとの交流も描かれている。その理由として「僕のドキュメンタリーを撮ってもらうとなった時に、僕のドキュメンタリーって何も面白くないだろうと思ったんです」と前置きした吉井は、「その数ヶ月前に病気で倒れたEROさんに出ていただいて、少しでも生活の援助ができたらいいな、という思いで彼を説得して。『何に使うかわからないけど、カメラを回していい?』と言ったら『いいよ』と言ってくれたので。ただやっぱりEROさんってああいうルックスで、ああいう存在感なので。できるだけたくさんの人に知ってほしかったし、なんかきっと意味を持つ映像になると思って連れていったんですけど、(むしろ監督が)魅了されてましたよね」と述懐。

その言葉に「最初から魅了されてましたね」とうなずいた宮地監督。「もちろん見た目のかっこよさというか。撮っていると、カメラが喜ぶような感覚があって。(THE YELLOW MONKEY のサポートキーボーディスト)三国義貴さんもそうなんですけど、すごい華があるなと思って。やはり最初にお会いした時から吉井さんの話はお伺いしていましたし、その時、吉井さんはポリープでライブ活動をされてなかったので。おふたりの復活ライブ、また再びステージに立つところまでを撮りたいな、という構成は最初の日に思いました」。そして吉井も「(監督から)EROさんに歌ってもらいたいという提案をされた時は正直、OKを出すだろうかとすごい心配でした。すごく繊細な人だから、こんな姿で俺は歌いたくない、みたいなことを言われるかなと思ったんですけど、でもものすごく喜んでくれたので」としみじみ振り返る。

本作では、東京ドーム公演を前に声が出ないといったような、つらい時期にも密着。苦悩する姿が映し出されている。だがそれでも「ドキュメンタリーを途中でやめたくなった瞬間はない」とキッパリと語る吉井。「もちろんドームもそうだったんですけど、僕個人としてはこのドキュメンタリーが回ってたことによって、病気の回復が早まったとすごく思っています」と晴れやかに語った。

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