坂下監督は、君嶋先⽣の⼩説を映画化する上で⼤切にしたことについて「最初に原作を読んで、どのように映画化するかという企画案をつくって出版社さんに説明する機会があったのですが、その時に、2⼈の恋愛の話にはしないということ、“⼊れ替わり”の話だとコメディになりがちですが、⼤げさな⾝振り⼿振りで中⾝の⼈格を⼤げさに⾔ってみるようなコメディ作品にはしないつもりです、ということを伝えました」と明かす。
この2点は君嶋先⽣も、映像化するにあたって、そうしてほしいと考えていたポイントだったそうだが「それをお伝えした時に監督の⽅からも『もちろんわかっています』と⾔っていただけましたし、実際に映画を⾒たら、それを忠実に守っていただいていて、本当に真摯に原作に向き合って映像化していただいたことが伝わる作品だなと思いました」と語り、坂下監督への感謝と信頼を感じさせた。
映画化された作品を⾒て、特に気に⼊ったシーンや印象的だったシーンを尋ねると、君嶋先⽣は、陸(芳根京⼦)がまなみ(髙橋海⼈)と仲たがいして、部屋から出て⾏き鍵を閉めるというシーンに⾔及。この描写は、幼少期の陸と⺟親のシーンとオーバーラップしており、⼩説にも同じような描写があるが「映画になると、よりハッキリわかるようになっていて、原作の意図をちゃんと読み取ってくださって、さらに素晴らしいシーンとして昇華してくださったのを感じるシーンでした」と絶賛!
坂下監督はこのシーンについて「“鍵を閉める”というシーンで、関係性を拒絶したり、関係性がなくなってしまうという意味を描けると思いました。それを繰り返すというのは、映画では反復という⼿法なんですが、そうすることでそのニュアンスを出そうということは原作を読んだ時から決めていました」と明かした。
