坂本さんが残した⽇記を通して辿る3年半の軌跡。コムアイさんは「”救急⾞を呼んだ”とご本⼈が⽇記に書いているところがありますよね。救急⾞を呼ぶほどなのに、⽇記を書ける状態の⼈っているんだって思って。”⼤汗をかいて”とか、どうしてもその状況で事細かにそれを書くという。強烈に⽣命⼒を感じました。この映画は、⼈にどう⽣きるかを問う作品だなと思います」と、⽇記に綴られた、特に⼼に残った⾔葉を挙げました。コムアイさんから、⽇記を軸にした作品の制作経緯を聞かれた⼤森監督は「坂本さんが亡くなられた2023年4⽉2⽇の2⽇後に放送したNHKの『クローズアップ現代』という番組に⼀⼈のディレクターとして参加して、そのあと1年かけてNHKスペシャルを放送、そして、そこからさらに1年半をかけてここに登壇しています」と作品完成までの⻑い道のりを振り返りました。様々な縁で対⾯した遺族との対話を重ね、貴重な⽇記を提供いただいたエピソードに続けて、「⽇記はただ起きたことを書く⽅もいれば、気持ちを整理するために書く⽅もいると思いますが、坂本さんは両⽅だったなと。⼈柄が窺い知れる貴重な機会でした」と⽇記と向き合う中での発⾒を語ります。また、「⼀⼈の⼈を知るということの難しさと尊さがありました。この⼈のことを⾃分はどれだけ分かることができるか?ということへの極限の挑戦でした。様々な⽅の協⼒を得て、坂本⿓⼀さんの後ろ姿から顔を覗けるよう、努⼒をしました」と、坂本さんの最後の3年半という重要な時期を映し出した作品制作を述懐しました。

さらに「⾳」に関して、コムアイさんは「この作品は、『⾳』が感覚的に⼊ってくる。⾳と映像の美しさや呼吸とかリズムみたいな間合いがすごく良くて美しかったです」と坂本さんが⼤切にしていた様々な⾳を感じ取ることができたと⾔うと、⼤森監督も「⾮常に集中した空間で鑑賞するという美しい体験は映画館でしかできないだろうなと思っていたので、観終わった後に⾳の余韻が残ることを⽬指していました」とこだわりを明かしました。

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