秋山監督は、この企画がはじまったのは4年以上前のことだと語る。「当時はまだコロナ禍で、横田さんもすごくお元気でした。映画化にあたり、ご本人にもたくさん協力していただき、『観に行くのが本当に楽しみ』と言ってくれていたんです」。しかし横田さんは映画の完成を見ることなく旅立った。「横田さんに観てほしかったなと。それは悔いが残ります」と唇を噛む秋山監督だったが、それでも映画の最後に出てくる「全ての横田慎太郎に捧ぐ」という言葉に触れて、「今は、そういう映画に育っていってくれたんじゃないかなと思っているので。ぜひ今日見たことをどんどん広めていただければ」と呼びかけた。

一方、本作が映画初主演となった松谷は、横田さんと過ごした4年間を振り返る。「初めてお会いした時から慎太郎さんの素敵な魅力に引き込まれました。その後、体調を崩されて、ホスピスにお見舞いに行ったり、お葬式に参列したり。一緒に過ごしたこの時間を、慎太郎さんの生き様、野球へのひたむきな姿勢など、全部知ってもらいたいという思いが強くて。そういう気持ちで演じていました」と語ると、「本当に慎太郎さんが楽しみにしてくださってたので、一緒に見たかったですね」としみじみと付け加えた。
