本作のメガホンをとったのは、映像クリエイターとして高い評価を受ける稲垣哲朗監督。これまで、数多くのトップアーティストのライブフィルム及びドキュメンタリーを手がけてきた。そんな映像の最前線で活躍する稲垣監督は、最新の映像技術と緻密な編集を駆使し、観客に“その場にいるかのような臨場感”を届ける演出を得意とする。本作では、ライブそのものの壮大なスケール感、そしてメンバー3人の繊細な瞬間描写を織り交ぜ、特別なライブ体験を創り上げた。
稲垣監督は本作の製作にあたり、歌唱や演奏シーンだけでなく、パフォーマンスと連動したステージ演出やメンバーの細かな表情、アイコンタクトまでも余さず捉えることを意識したという。その結果、映画館でライブの熱気や興奮をそのまま体感できる作品にとどまらず、単なるライブフィルムという枠を超え、アーティストとしての進化と未来を感じさせる映像作品へと昇華した。また、「ライブの臨場感」と「映画としての映像美」を両立させる手法について、「『全席、最前列。』というキャッチコピーがあり、映像を通してそれがちゃんと表現されていることが非常に大事だと思っていました」と述懐。その上で「本作には、これまでの“FJORD”のイメージをさらに増幅させる体験価値があると感じています。ライブ自体に音楽的な映像や編集を加えることで、感情とMrs. GREEN APPLEの音楽が渦みたいにうねり、圧倒的な臨場感を必ず感じてもらえるんじゃないかなと思います」と、本作でしか味わうことができない比類なき価値が『FJORD』にはあること、そして映像クリエイターとしての深いこだわりを振り返った。