そんなプライベート感あふれる静岡での撮影だったが、登場する吉井の⺟親や同級⽣への取材もすべて当⽇にアポを取ったものだった。「同級⽣にも何⼈か出てもらってるんですけど、全部当⽇アポです。暇だろうと思ったんで(笑)。⺟親にも当⽇に連絡したら『(部屋を)⽚付けてないから困る!』とめっちゃキレられました(笑)」と振り返った吉井。さらに「実は⺟親がまだこの映画を観てないんですよ。だから俺、ドキドキしてるんですよ。⼀番ダメ出しするのは⺟親だと思うんで」と笑いながら付け加えた。

ドキュメンタリーでありながらも、どこかで筋書きが決まっていたかのような神がかった展開を⾒せる本作。「⾃分のことを追いかけてもらっていたのに、初めて観た時は、すごくワクワクしたんですよ。⾃分のことなのにそう思うんだから、おそらく皆さんも楽しんでもらえるんじゃないかなと。僕の⼈⽣のキャリアのほとんどはミュージシャンだったわけですが、この映画のためにミュージシャンになったんじゃないかと思うくらい。過去にさかのぼりながら未来に向かっているような、不思議な感じがします」と噛み締めるように吉井は語る。

その流れで吉井が「宮地くんってドローン好きなんですよ。“ドローン宮地”とか、“ドローンえもん”とか呼んでいたんですけど」と笑いながら切り出すと、「でもドローンというのは⾔い得て妙というか。(本作のもうひとりの主⼈公である)EROさんを俯瞰(ふかん)で⾒ていくと世界が⾒えてくるような。そういう不思議な撮り⽅をしているので。単にファンムービー的なものでもなく、ちゃんと世の中のことを俯瞰(ふかん)で⾒ている。そしてすごく今の時代を捉えてる。今、売れている⾳楽と似ているというか。僕らみたいな初⽼のふたりを撮っているだけなのに、すごく今っぽい映画になっているんですよ。この髪型のようにね」と宮地監督の個性的な髪型を指してみせて、会場をドッと沸かせた。

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