【キャスティング–長澤まさみ起用の決め手】

遠藤:主演の長澤まさみさんは当初からの想定でしたか?長澤さんがプロットを読んだ時に「この話どこまで行ってしまうんだろう」と最後までぐいぐい読まされてしまったと、その面白さに出演を希望されたという経緯があります。
矢口監督:当て書きはしないタイプですが、キャスティングの段階でパっと浮かんだのが長澤さんで、僕から提案しました。『WOOD JOB!』でご一緒した時に、ちゃんとキャラクターに入っていってくれる人で、手応えがあった。「長澤さんをひどい目に遭わせたい」と思って(笑)お願いしたら、意外とすぐ快諾していただき、これはいけると思いました。結果、これまでの映画やドラマとはまた違う表情が見える役になったと思います。

【“アヤ人形”の造形について】

遠藤:今日も隣に座っていますが、もう一人の主演といっても過言ではない“アヤちゃん”について。造形のこだわりは?
矢口監督:まず冒頭に登場する長女“芽衣”のオーディションを先に行い、選ばれた本田都々花ちゃんに似せて作ろうと。カメラの前で“歩かせない、喋らせない”方針でギミックは一切いらないので、置いてあるだけで「人かも」と怖くなるものにしましょうと『WOODJOB!』で、最後のお祭りシーンで、丸太の上に乗っている主人公の造形を制作していただいた藤原カクセイさんにお願いしました。

【人形は動かさない–日本的恐怖の作法】

遠藤:ハリウッド映画と日本映画との違いがあると思うのですが。
矢口監督:ハリウッドの“物理で倒せる恐怖”と日本の恐怖は根本が違うと感じています。銃で撃つ、杭を刺す、燃やす、といった力技で解決できる相手ではなく、「家に居続ける、壊せない存在」による圧。そのため、観客や登場人物が見ている目の前で瞬きしたり歩いたり喋らせない。人形なのか佳恵さんや子供が変なのか“どっちかわからない状況” がしばらく続いたほうが恐怖は増幅すると思っていました。とはいえクライマックスに向けては何も見せないわけにはいかないので、カメラのフラッシュの瞬間だけとか袋に入れて封じこめるというように段階的に本性を見せていきました。

1

2

3 4

RELATED

PAGE TOP