【作品の着想】
遠藤:どの作品も原案・脚本・監督を兼ねていますが、どのように着想し、物語の展開を作っていくのでしょうか?
矢口監督:ビジュアル発想からではなく、物語の大枠から。こんな主人公がこういう目に遭い、こう展開して、こう終わる–その骨組みを決め、ファーストシーンから順に積み上げて書いていくようにしています。
遠藤:『ドールハウス』で当初のプロットにあって、やっぱりやめたというシーンはありますか?
矢口監督:子供の“真衣ちゃん”が台所でイチゴをミキサーに入れ、手を伸ばしたまま誤ってスイッチを入れてしまう…という一幕。怖いけれど、人形の“悪さ”とは別筋なので外しました。
遠藤:『ドールハウス』を作るにあたって、インスパイアされた作品はありますか?
矢口監督:『エクソシスト』が一番近いかもしれません。得体のしれない“何か”が部屋に居続け、日常を侵食していく。どこかへ行くと遭遇するのではなく、家の中に“いる相手”と暮らし続けねばならない恐怖。『ドールハウス』と精神的な近さを感じます。
【日本とは違う海外の反応】
遠藤:各国の映画祭にも出品して、ポルト国際映画祭ではグランプリを受賞しました。海外のお客様の反応はどうでしたか?
矢口監督:ハリウッド映画とは違う作り方をしていたので、果たして受け入れられるのかと思っていたのですが、向こうのお客さんは“ギャー!”と叫んで椅子から転げ落ちそうになったかと思えば、その後爆笑が起こったりするので、不思議でした。自分が怖がったということの照れ隠しかもしれませんが、映画を観て驚く・怖がる・笑うを全身で楽しむという姿が印象的でした。日本は水を打ったように静かですよね。マナーは守りつつ、もっとわいわい楽しんでもらっても(笑)。

【Blu-ray&DVDならではの見どころについて】
遠藤:Blu-ray&DVDが発売されましたが、パッケージならではの見どころは?
矢口監督:映像特典の中で最大の推しはBlu-ray豪華版に収録されている新規制作の「生き人形は実在する」です。江戸時代から作られている人間に生き写しの実寸大のリアルな人形、“生き人形”文化を解説する映像です。
遠藤:その他、新撮の「矢口監督に聞く!『ドールハウス』の秘密」やメイキング、イベント映像、海外映画祭映像など、できるだけ映像特典を収録しました。それから矢口監督のファンだったら見たいと思うであろう絵コンテやデザイン画も網羅しています。