本作は天野監督と熊⾕によるオリジナル脚本だが、天野監督は「⾃分が10年ちょっと前に結婚して、出産して、⼦育てが始まったときに、⾃分でも意外なぐらいに、世の中にある『夫婦はこうあるべき』とか『⺟親ならこうしなきゃ』みたいな規範に勝⼿に⾃分をはめ込んで、苦しかったという思いがありました。タモツで⾔うと『男なのに稼ぎがないのってどうなの?』とか、サチで⾔ったら『⺟親なのに⼦どもをほったらかして働いてるのってどうなの?』みたいな、何となく社会にある価値観みたいなのが、まだまだ残っていて、それに苦しめられる⼈って多いんじゃないか?というのがあったので、そこをちゃんと描きたかったし、それによって2⼈の関係が壊れ、どんどん揺らいでいってしまうのをちゃんと描けたらいいなと思っていました」と物語に込めた思いを熱く語った。

改めて、完成した映画を⾒た時の感想を尋ねると、岸井は「どうすればよかったか?どうすればよかったんですかね…?という気持ちと、私はサチの気持ちでずっと演じていたので、完成したものを⾒たときには、『(タモツに対して)ごめんね』っていう気持ちが⼤きかったかなと思いますね。ただサチはサチで、そのときの最善を尽くしてはいるので、客観的に⾒て『ごめんね』と思うこともあったけど、それが正義じゃないというか、2⼈はこれでいいとは思っています」と語る。

宮沢も、役を通してタモツの⼈⽣を⽣きてきたからこそ「結構、孤独な時間が多かったので、完成したものを⾒て、初めてサチの⼈⽣であったり、みなさんの⼈⽣を⾒て、もうちょっと気遣いだったり、どういう苦労や悲しみがあったんだろう?ということを理解できていたら、2⼈の関係っていうのは、もしかしたらそのまま幸せに進んでいたんじゃないかな?といろんな可能性を考える時間でした」としみじみと語る。

藤原は「いや本当に『⼈⽣って…』と思いました。正解というものはきっと存在しなくて、ただそれぞれが選び取って、選択した答えがあって、その先にただ景⾊が広がっているだけなんだっていう気持ちになりました」とうなずく。三浦は「僕は台本を読んだとき、本当に苦しい話だなと思いながら読んでいたシーンがたくさんあったんですけど、完成した映画を⾒たら、ケンカのシーンとか意外と客観的に⾒たらちょっと笑っちゃったりするシーンとかも結構あって、⼈が⼀⽣懸命⽣きた末に起こるケンカって、傍から⾒たらちょっと⾯⽩いんだなって思ったりとか、それはすごい発⾒でした」と笑顔を⾒せる。中島は「僕も苦しかったですね、タモツになりたくない――『タモツりたくない!』と思いつつ、いつ⾃分がタモツになっちゃうんだろう?みたいな…。いや、そんな悪い⼈間じゃないけど、でもわかんないから!もうリアリティがありすぎてドキドキしながら観ていました」と実感のこもった⼝調で語ってくれた。

また岸井と宮沢は、現場での⼦どもたちとの共演について尋ねられると「メチャクチャかわいかったです!」と顔をほころばせる。宮沢は「(⼦どもの)成⻑を毎⽇、現場で⾒るのがすごく楽しみだったし、現場で⼦どもと戯れるのもすごく楽しみで、それが現場の癒しにもなってました」と語り、岸井は「もちろん泣いちゃうこととかもたくさんあったんですけど、『だって⽣きているから』っていう感じで、いい時間でしたよね」と笑顔でうなずいた。

1 2 3 4

5

6 7

RELATED

PAGE TOP